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51.寛政重修諸家譜かんせいちょうしゅうしょかふ
幕府が諸大名・旗本から家譜を提出させて編纂した系譜集である『寛政重修諸家譜』から、該当箇所を見てみましょう。ここでは、展示資料50『譜牒余録』同様に正月3日と同9日条を記していますが、同9日条では「大老連署で書を与え、正宗の太刀、知行を賜った。これは家康のはからいによる」と、ある意味、元の記述に戻っています。これは、『寛政重修諸家譜』が諸書や古記録などを比較検討し、疑義がある場合には諸家に問い合わせて質しており、また解決しなかった部分については疑義のある旨を記載しておくなどの編纂方針で編集されていることによるのでしょう。実際、島津家には同年正月9日付の大老連署の書状が残されており、この書状の存在に基づいた記述がなされたものと思われます。
以上、いくつかの書を比べてみると、同じ事項を扱いながらも、時代とともに記述が変化していっている様子がわかります。これは、幕府の編纂したものとても同じ。時代状況や学問の流行など、様々な要因によって歴史は書き換えられ、語られていきました。
展示資料は、文化9年(1812)に成立。幕府によって編纂された大名・旗本らの系譜集で、全1,520巻目9巻(1,530冊)のうち巻108(118冊目)。寛政10年(1798)までの系図を新たに提出させ、『寛永諸家系図伝』を全面的に改訂したものです。本資料は、将軍家斉に献上されたもので、紅葉山文庫旧蔵。
(請求番号:特104-0001)

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