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35.北条家裁許印判状ほうじょうけさいきょいんぱんじょう [豊島・宮城文書]

ここで取り上げるのは、戦国時代の女性と家の問題です。資料は、小田原北条氏の家臣、尾崎大膳の家督についての元亀3年(1572)6月21日付裁許状。討ち死にした大膳の家督を、娘が相続することについて、一族の尾崎常陸守と相論になった模様です。結果としては、娘が相続することになり、母方の一族である宮城四郎兵衛に、北条家に対してよく働く者を夫とするようにとの指示がだされています。

ここで読み取れるのは、大名家にとって必要な存在であれば、女性による相続も認められていた点。実際、戦国時代には女性当主が活躍した大名家も複数存在します。

なお、年月日の所に捺されている朱印は、通称「虎の印判」と呼ばれる北条氏の印鑑。「禄寿応穏」の文字の上で虎がうずくまっています。

展示資料は、「豊島・宮城文書」(としま・みやぎもんじょ)のうちの一つ。19号文書。豊島氏は秩父平氏の流れをくみ、武蔵国豊島郡を地盤として豊島氏を称した家。宮城家はその一族。全1冊・31点。

(請求番号:古017-0341)

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参考資料1(請求番号:169-0085)

参考資料は、展示資料31でも登場した『北条五代記』。天正18年(1590)、豊臣秀吉によって関東の諸城が攻められた際、岩付(岩槻)城に籠城していた者の中に、「宮城美作守」の名があります。

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参考資料2(請求番号:167-0101)

もう一つの参考資料は、室町時代の関東地方の歴史を記した『鎌倉大草紙』。文明9年(1477)の江古田・沼袋での合戦以下、豊島氏の没落の場面が記されています。

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