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6.日本文徳天皇実録にほんもんとくてんのうじつろく
『続日本後紀』のあとを受けて編修された全10巻の勅撰国史。略して『文徳天皇実録』『文徳実録』とも。撰者は藤原基経(ふじわらのもとつね)・都良香(みやこのよしか)ほか。嘉祥3年(850)3月から天安2年(858)8月まで、文徳天皇在位9年間のことが記されています。文徳天皇を継いだ清和天皇の命で編纂が始まり、陽成天皇の元慶3年(879)に完成しました。
編年体で漢文で記されているのは他の勅撰国史と同様ですが、人物の死亡記事のあとに必ずその伝記を付すなど、人間に対する細やかな情も感じられます。『六国史』(1970刊)を著した歴史学者の坂本太郎(1901―87)は、このような文章を書いた撰者を都良香であると推定し、「義理で国史を書いたのでないことはもとより、歴史を織りなす人間のいとなみや心の動きの意義を認め」た良香の学識の深さと人間性の豊かさを高く評価しています。
展示資料は、慶長写本の一つ。紅葉山文庫旧蔵。全5冊。
(請求番号:特055-0009)
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