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28.近江守護(六角定頼)家年寄連署奉書案おうみしゅご(ろっかくさだより)けとしよりれんしょほうしょあん[朽木家古文書、重要文化財]

『朽木家古文書』(くつきけこもんじょ)は、朽木家に伝えられた平安時代からの1,060余通の古文書をまとめたもので、全38軸・13冊・9枚。平成元年(1989)に国の重要文化財に指定されました。

朽木家は、宇多源氏の一流、佐々木家の末で、近江国朽木谷(現在の滋賀県高島市)に所領を有して活躍した家です。京都と若狭を結ぶ若狭街道(俗に鯖街道)を押さえ、鎌倉時代から江戸時代にかけて活躍し、室町時代には足利将軍の側近として活躍します。

展示資料は、第17軸に所収されている、天文12年(1543)近江国守護六角氏の家臣から、朽木領に隣接して所領を有していた田中氏に宛てて出された奉書案です。奉書は、上位者の意を奉じて出された書状。案とは案文のことです。

この奉書によると、朽木領内において無許可で山木を盗伐していた田中領の領民を捕らえたところ、田中氏側では相当の措置(報復)として朽木商人を監禁したとのこと。朽木氏は守護の六角氏に訴え、朽木氏の訴えを認めた六角氏は、田中氏に盗伐した品物以下を返却し、今後は承諾無く同山に入ることを禁じています。ここで垣間見えるのは、やられたらやり返すことで、自らの権利を実力で守る自力救済(じりききゅうさい)の意識。今回は上位権力者の六角氏の裁定で決着しましたが、力のある上位者が存在しない場合には戦争にも発展しました。

(請求番号:特073-0001)

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