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18. 人鏡陽秋じんきょうようしゅう

吉宗は、享保8年5月28日に『明状元図考』と共に『人鏡陽秋』を借り出しています。

『人鏡陽秋』は、中国古今の手本とすべき人物を、忠・孝・節・義の4部に分類し(さらに各部内を諫諍類・婦節類などに細分)、挿絵を配して解説し、著者の評を加えた書。「人鏡」は人の模範となる行為で、「陽秋」は春秋の意。孔子が著した『春秋』に倣い、善を褒め称えていることからこの書名が付けられたと思われます。万暦28年(1600)刊。

著者の汪廷訥の出身地である休寧(安徽省のうち)一帯は、経済的に富裕で版画の技術が発達していました。本書の挿絵も精緻で美麗です。

吉宗は、前の年(享保7年)、中国で民衆の教化のために頒布された『六諭』(りくゆ)を解説した『六諭衍義大意』(りくゆえんぎたいい)を出版させ、寺子屋で教科書として使うよう指示しました。その内容は「孝順父母」「尊敬長上」「和睦郷里」など、『人鏡陽秋』と通じるもので、本書の閲覧も、庶民教化を重視した吉宗の政策と無縁ではなかったでしょう。全12冊。紅葉山文庫旧蔵。

(請求番号:子081-0004)

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