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14. 重刻太平恵民和剤局方 じゅうこくたいへいけいみんわざいきょくほう

『和剤局方』は、中国の宋の皇帝徽宗(きそう)の命で編纂された薬剤の処方集。大観年間(1107-10)に成り、その後何度か増補され版を重ねました。『重刻太平恵民和剤局方』は、明の崇禎10年(1637)に刊行された増補版。脚気・眼病・下痢・便秘・婦人病・小児病ほか、症状ごとに薬とその処方が挙げられています。

享保8年(1723)8月8日、書物方は、側衆の有馬兵庫頭を通じて『和剤局方』など3部の医書を将軍に「差上」げるよう命じられ、坊主衆を介して届けました。展示資料が、このとき吉宗が命じた本と思われます。

本書は享保12年(1727)2月19日にようやく返却されますが、吉宗はどのような理由で長期間借り出したのでしょうか。医療の向上に関心が深かった吉宗は、庶民の医療を改善するために本書の官刻(幕府が出版すること)を計画し、みずから閲覧すると同時に幕府の医師たちに校合させるため、本書を借り出したものと思われます。

官版『増広太平恵民和剤局方』は、享保17年(1732)に出版されました。全8冊。紅葉山文庫旧蔵。

(請求番号:子040-0001)

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