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16. 痘疹世医心法とうしんせいしんぽう

吉宗は、享保8年10月に痘疹(天然痘)に関する中国の医書を20種以上閲覧しています。

天然痘は多くの人命を奪う恐ろしい病。中国ではすでに11世紀に人痘接種法(人の天然痘のかさぶたの粉末を鼻腔に吹き込む等の方法で行われる種痘)が行われていましたが、その技術がわが国に伝えられたのは18世紀半ば以降でした(18世紀末にジェンナーが発明した牛痘接種法が試みられるようになるのは幕末になってから)。したがって吉宗が手にした医書に天然痘の効果的な予防法や治療法が載っていたとは考えられません。それでも意欲的に天然痘の医書を閲覧したのは、この年、天然痘が流行していたからでしょう。天然痘は3年前の享保5年(1720)にも流行しており、吉宗は病害を抑えるヒントを得ようと、これらの医書を閲覧したと思われます。

展示資料は、吉宗が享保8年10月8日から翌年の8月3日まで借り出した『痘疹世医心法』。明の時代の著名な小児科医・万全の著で、全6冊。紅葉山文庫旧蔵。

(請求番号:子048-0012)

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