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55. 千とせのためし図録・絵巻ちとせのためし

紀伊国和歌山藩の付家老で同国新宮城主(3万5,000石)の水野忠央(みずのただなか 1814―65)が編纂した古筆・古画・古器物の図録。藤原定家、西行、後鳥羽院ほかの古筆や古鏡、古鈴など22点の多色刷り模写図が収録されています。幕臣で国学者の前田夏蔭の嘉永3年(1850)の序と忠央に仕えた国学者村田春野の跋を添えて刊行されました。

水野忠央は、天保6年(1835)に家督を相続して和歌山藩(紀伊徳川家)の付家老となり、万延元年(1860)に桜田門外の変の影響で隠居謹慎となるまで、殖産興業や洋式帆船の建造など意欲的な改革を行いました。また和歌山藩主徳川慶富(のちの14代将軍家茂)の将軍擁立をはかるなど、幕末の政局で重要な役割を果たしたことでも知られています。元治2年(1865)没。享年52歳。その後、忠央の跡を継いだ忠幹が慶応4年(1868)正月に朝廷から藩屏(はんぺい)に列せられ、和歌山藩新宮領は新宮藩となりました。展示資料は、全1帖。

(請求番号:198-0109)

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