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印刷するには?8. 松雲公御夜話しょううんこうおんやわ
加賀国金沢藩主(5代目)前田綱紀(まえだつなのり 1643―1724)の言行を、綱紀に近侍した中村典膳(名は克正)が記述した書。享保10年(1725)成立。中村はさらに延享3年(1746)に続編(『松雲公御夜話追加』)を著しています。
前田綱紀は、父で4代藩主の光高が頓死したのち、わずか3歳で藩主となり、享保8年(1723)に81歳で隠居するまで、79年もの間藩主の座にありました。その初期は祖父利常が後見しましたが、利常亡きあとは、農政の改革や殖産興業に力を注ぐとともに、学術・文化の振興に努めました。とりわけ古文書・古典籍の収集に積極的で、綱紀の蔵書(尊経閣蔵書)の質の高さは、新井白石を「加州は天下の書府なり」と感嘆させたほど。ほかに藩の「細工所」を整備して工芸技術者を育成したり、本草学(博物学・薬学)の発展に貢献したり。綱紀が名君と称されるゆえんです。享保9年(1724)没。享年82歳。松雲公は院号。
『松雲公御夜話』には、生類憐みの令が出された5代将軍綱吉の時代に、人と「畜生」の命の重さは較べものにならぬと毅然として抵抗した逸事も収められています。
展示資料は、修史館旧蔵。全3冊(1、2冊目が『松雲公御夜話』で、3冊目が同追加)。3冊目の奥に天保3年(1832)に山崎籍侃の蔵書を成瀬正敦が借写した旨が記されています(山崎と成瀬はともに金沢藩士)。
(請求番号:159-0118)
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