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32.養生法ようじょうほう
『養生法』は、幕府の医学所(西洋医学の教育研究機関)の頭取を務めた松本良順(まつもとりょうじゅん 名は順とも。1832-1907)が、西洋各国の医学書から日本の風土に適した健康法を選び出して上下2巻にまとめたもの。元治元年(1864)跋。全2冊。貝原益軒(かいばらえきけん 1630-1714)の『養生訓(ようじょうくん)』に替わる健康ハンドブックを意図して刊行された本書には、住居、衣服、飲食から入浴、喫煙、性生活に至るまで、健康維持のための留意点が分かりやすく記されています。
松本は佐倉藩医佐藤泰然の子で、幕府の医官松本良甫の養子。長崎でポンペに医学を学び、維新後は軍医総監を務め、わが国の公衆衛生の普及にも尽力しました。補注を記している山内豊城(やまうちとよき)は、松本の実父の親友で、江戸で寺子屋の師匠などをしていた人。明治元年(1868)に67歳で没しています。
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