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1.環海異聞かんかいいぶん
『環海異聞』は、レザーノフ来航の際に帰国した津太夫(つだゆう)ほか漂流者の見聞を蘭学者の大槻茂質(おおつきしげかた 通称は玄沢(げんたく))がまとめたもの。文化4年(1807)成立。全16冊。
寛政5年(1793)11月に石巻港(宮城県石巻市)を出た津太夫の船は、翌年アリューシャン列島の島に漂着。ロシアに8ヶ年滞留したのち、ロシア残留を希望する6名を除く津太夫ら4名が、レザーノフに伴われて、世界周航をめざすクルーゼンシュテルン提督の船に乗り込みました。聖ペテルスブルグの外港を出帆した船は、大西洋を横断し、マゼラン海峡、ハワイ、カムチャッカを経て長崎に至りました。津太夫らは世界を船で一周したことになり、書名もこれに由来しています。本書はロシアの社会や風俗等を絵入りで紹介するほか、長崎における日露間のやりとりについても記しています。
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