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16.浦賀与力より之聞書うらがよりきよりのききがき

『浦賀与力より之聞書』は、嘉永6年6月のペリー来航の際に応接その他の実務に奔走した香山栄左衛門(かやまえいざえもん)ほか浦賀奉行所与力5人の聞書きを記録した書。ペリーの離日からわずか1月余りのちに書写されたものだけに、与力たちが語った率直な感想や印象がいきいきと記されています。

たとえば与力の一人は、アメリカが石炭貯蔵地の確保と通商の開始を求めて特使を派遣する情報を、すでに一昨年オランダ人から得ていながら、幕府の上層部がこれを秘してしかるべき対策を講じなかったこと。昨年の春ようやくこのことが浦賀奉行に通達されたが、奉行はこれを与力に伝えなかったこと等を批判して、「乍恐(おそれながら)当時ノ御役人ハ異船何程(なにほど)来ルトモ、日本鉄炮ヲ出シ示サハ直ニ迯返(にげかえ)ルヘキ位ノ腹合(はらあい)ナルカ」(アメリカの軍艦が何隻やってこようと、鉄砲を見せれば怖がって逃げ帰るとでも思っていらっしゃるのだろうか)と幕府上層の危機感の薄さと秘密主義を慨嘆しています。全1冊。

浦賀与力ヨリ之聞書

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