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2.通航一覧つうこういちらん

レザーノフが徳川将軍に捧呈しようとしたロシア皇帝の親書の日本語訳が、「オロシヤ国王より之呈書」の「和解」として、幕府が編纂した対外関係史料集『通航一覧』の「魯西亜国部」に収録されています。

ロシア側はロシア語、満州語、日本語の3種の親書の写しを用意していましたがいずれも理解困難。このため長崎のオランダ語通詞(つうじ)がレザーノフ一行のうちオランダ語を解するロシア人に親書の内容を尋ね、日本語に訳したものが、公文書として採用されました。このなかでロシア皇帝は、「大日本国王」(徳川将軍)に対して12年前にラクスマンが長崎への入港を許可する信牌を授けられた礼を述べると共に、ぜひ両国の間に「交易之道」を開きたいと、通商の希望を丁重に述べています。

『通航一覧』は、西欧諸国との応対が多端になるなか、対外交渉の先例や史料を容易に検索できるよう、嘉永3年(1850)に林大学頭(はやしだいがくのかみ)健や林式部少輔(はやししきぶのしょうあきら)らに編纂を命じたもので、嘉永6年(1853)に完成。続輯は安政3年(1856)頃に完成したと思われます。正編・続輯とも浄書本は、「琉球国部」の26冊を除き明治6年(1873)5月の皇居炎上の折に焼失。資料は浄書以前の稿本で、多数の切り貼りや添削箇所があり編集の過程がうかがえます。全414冊。

通航一覧

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