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31.舎密局必携せいみきょくひっけい

『舎密局必携』は、わが国の写真の開祖と称される上野彦馬(うえのひこま 1838-1904)が訳した、化学実験のためのマニュアル書。付録で「撮影術」が詳しく解説されています。長崎の御用時計師の家に生まれた上野は、海軍伝習所(Ⅷ「歩兵と造船所」参照)のオランダ人医師ポンペに化学を学んだのを機に写真に興味を抱き、津藩の堀江鍬次郎(ほりえくわじろう)と共同研究の末、安政6年(1859)に湿板写真の撮影に成功しました。

『舎密局必携』は、上野が堀江の協力を得て著した書で、文久2年(1862)刊。全3冊。幕府の開成所でも参考書として用いられました。「舎密」は化学(オランダ語で化学をセーミ)のこと。西洋の植物学と化学をわが国に紹介した宇田川榕庵(1798-1848)が造った訳語です。上野は、堀江と共に津藩の藩校で化学(舎密)とオランダ語を教えたのち、文久2年、長崎で写真館「上野撮影局」を開業。坂本龍馬、勝海舟ほか幕末維新を彩る人々を多数撮影しました。

舎密局必携

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