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12.海国図志かいこくずし

『海国図志』は、清の道光22年(1842)、南京条約が締結された年の12月に、イギリスに対する清朝の降伏を憤り民族的危機を感じた魏源(ぎげん 1794-1856)が、19世紀前半の西洋諸国の情勢を説き、近代的軍備と殖産興業等による中国の富国強兵を訴えた実用の地理書です。魏源は実学を重視した学者で、アへン戦争では、浙江方面(長江下流平野の南部)で実際にイギリス軍と交戦した人でもありました。

『海国図志』は、当時の世界情勢を知ろうとする人々にとってバイブル的役割を果たし、海防と開国の難問に直面するわが国にも最新かつ豊富な情報をもたらしました。外交問題に対する判断に及ぼした影響も少なくありません。吉田松陰(よしだしょういん)や橋本左内(はしもとさない)など幕末の志士に深い感銘を与えたことでも有名ですが、幕府もまた、アメリカの情勢等をより正確に把握するために本書を活用しています。資料は光緒2年(1876)刊。全24冊。

海国図志

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