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素読吟味(多聞櫓文書)(そどくぎんみ)

[請求番号 多012009]

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幕臣の家に生まれた男子は、武術の修業だけではなく、手習い(習字)や算術、そして小学と四書五経(大学・中庸・論語・孟子の四書と、易経・書経・詩経・礼記・春秋の五経)など、儒学の基本書を学習しました。通常7、8歳で手習いの稽古を始め、10代になると読書(学習)のため、師を選んで塾通い。幕臣の子どもたちは意外に忙しい日々を送っていたようです。寛政年間(1789-1801)になると、幕府による学力試験が行われるようになり、成績優秀者には褒美の品が与えられました。

素読吟味はこのうち15歳未満の年少者あるいは17歳から19歳までの子弟を対象とする試験で、毎年10月、幕府の学問所である湯島の昌平坂学問所(昌平黌とも)で実施されました。担当の目付や大学頭、学問所の教授が列席する試験場で、少年たちは四書五経の指定された箇所を高らかに音読しました。

展示資料の「従十七歳十九歳迄之者四書五経小学素読仕候者姓名」は、慶応3年(1867)10月21日に昌平坂学問所で四書五経と小学の素読吟味を受ける幕臣の子弟の名簿。無点本(返り点や送り仮名が付いていない本)で受験する者と有点本で受験する者がいるのは、それぞれの学力の差でしょう。また「煩」(病気)で当日欠席する者もいました。


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