資料一覧

絵図・写真を含む公文書

第一部では、絵図や写真といった文字以外の情報を含む公文書を中心にご紹介します。公文書といえば、決裁文書や法令関係文書がまずは思い浮かぶかもしれません。しかしながら、公文書には多様な表記方法によって作成された資料も存在します。

前半では、国の重要文化財に指定されている「公文録」のうち、絵図や樹木見本といった特徴的な附属品をもつ文書を展示します。後半は、実態を直接視覚に訴えかける写真や被害図が比較的多く綴られている資料として、災害とその復興を跡付ける記録に着目します。

「公文録」と「公文附属の図」

各省や府県等から太政官に提出された原議綴である「公文録」は、明治前期の諸施策を現在に伝える公文書です。その編纂は、明治6年(1873)に発生した太政官の火災による文書焼失をきっかけに、記録課によって本格的に着手され、太政官が廃止された明治18年までの記録が綴られています。大きさや形状が異なる絵図等の附属資料は、「公文附属の図」「公文附属の表」として区分し、保存されてきました。「公文録」は、附属の図表・索引とともに、平成10年(1998)に国の重要文化財に指定されました。

戦争や災害の記録

災害の経験を後世に伝え、防災対策に役立てるために、記録は大きな役割を果たします。特に、甚大な被害状況を視覚的に訴える写真や図面からは、ときに文字資料を凌ぐ説得力を感じ取ることができます。ここでは、戦災・自然災害を記録した公文書とともに、復興が進められた経緯を記した文書を展示します。

公文書保存にまつわる物語

平成23年(2011)4月に施行された「公文書等の管理に関する法律」(公文書管理法)には、「行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等」が掲げられています。昭和46年(1971)の開館以来、当館では多くの歴史公文書等を受入れてきましたが、これらの作成から移管に至る過程には、文書それぞれの個性をうかがうことができます。

第二部では、特徴的な保存・移管の経緯を持つ公文書に焦点をあてます。あわせて、各省庁による文書管理の取組みとその歩みをご紹介します。これらを通じて、公文書を残し伝えていくことの大切さに目を向けていただけると幸いです。

意識的に残された/偶然残った公文書

当館が保存している公文書の種類は様々です。その中には、明治期から継続して作成され、意識的・体系的に残された文書がある一方で、未整理のまま引き継がれ、今日に伝えられているものもあります。ここでは、前者の例として法令関係文書(御署名原本、公文類聚、内閣公文)を、後者の例として「諸雑公文書」をとりあげます。

戦争や災害を乗り越えた公文書

現在、我々が手にすることができる歴史資料のなかには、様々な障害を乗り越え、また省庁による資料保存のための努力によって残されてきた文書も存在します。ここでは、第二次世界大戦後の米国による接収を経て当館に移管された「返還文書」、関東大震災による焼失を免れた大蔵省の「震災焼残文書」をとりあげます。戦争や災害を乗り越えた公文書を、その経緯とともにご紹介します。

公文書を残すための取組み

このコーナーでは、いくつかの省庁を事例としながら、明治から今日までの文書管理の取組みについて焦点をあてます。あわせて、行政組織の解散や新設によって、過去に作成された文書がどのように引き継がれていくのか、具体的な例とともに見ていきます。さらに、近年国立公文書館への移管が始まった司法文書も展示します。

公文書のなかの個人・企業・地域

国の政策決定を跡付けるため各機関(省庁等)によって作成される公文書ですが、法に基づく許認可や、政策決定のための資料などには、省庁関係者以外の民間の人々や組織によって記された文書も含まれています。第三部では、決裁文書に代表される「公文書らしい」イメージからは少し離れた陳情書などを通じて、公文書に描かれた個人や組織の記録をご紹介します。

特徴的な形体の公文書

第四部では、紙や文字資料以外の公文書―銅版、砂、布類、音声、ぬいぐるみなど―を中心に、当館が所蔵している資料のうち一風変わったものを集めました。正確な情報を伝え、あるいは詳細な記録を残すにあたって、その目的に応じて様々な形体をとりながら資料が作成された様子がうかがえるでしょう。

また、特徴的な形体を有する公文書は、それゆえに保存のうえでも様々な工夫が施されてきました。後世へ適切に資料を伝えるための取組みとあわせて、個性豊かな公文書の数々をお楽しみください。

ページ上部へ


ページここまで