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22.複数の省庁を渡り歩いた公文書 ―国立公園関係

現在、日本国内に29ヶ所存在する国立公園は、環境省とその地方環境事務所等によって管理されています。風致を維持するために指定された特別地域内に、トンネルや道路などの「工作物」を設けるにあたっては、主務大臣の許可が必要です。

展示資料3点は、いずれも中部山岳国立公園内における工作物設置の許認可を行った際の文書です。昭和10年(=A)、昭和18年(=B)、平成9年(=C)の文書を並べていますが、よく見ると文書を作成した省庁名が異なることに気付きます。すなわち、それぞれの許認可は、A内務省、B厚生省、C環境庁の各大臣/長官によって行われています。

昭和8年(1933)に国立公園が誕生した際、公園事業は内務省の管轄でした。その後、本業務の担当は昭和13年(1938)に新設された厚生省に、さらに昭和46年(1971)に新設された環境庁へと引き継がれました。平成13年(2001)の省庁再編により、環境庁は環境省に昇格しました。

なお、展示資料AとBは同じ簿冊に綴られており、昭和47年に環境庁から移管されました。昭和初期に内務省で作成された文書が、内務省→厚生省→環境庁と複数の省庁を渡り歩き、各所で適切に保存された状況がうかがえます。

このように、作成省庁と移管省庁が異なる公文書は、他省庁においても見受けられます。最近の例として、昭和50年代に公正取引委員会で作成された取締記録「排除命令原本」があげられます。平成21年度までは同委員会から移管されてきましたが、新設された消費者庁に引き継がれ、平成22年度には消費者庁から移管されました。

A.昭和10年 内務大臣による許可
B.昭和18年 厚生大臣による許可
C.平成9年 環境庁長官による許可

※写真をクリックすると拡大画像が表示されます

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