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37.裁判記録と公印 ―極東国際軍事裁判関係資料
平成11〜12年(1999〜2000)に法務省から移管された文書には、巣鴨刑務所関係資料、戦犯赦免関係資料とともに、戦争裁判関係資料が含まれています。元海軍大佐で戦後第二復員省に勤務した豊田隈雄(のち、復員庁第二復員局調査部長等を経て、法務省参与)は、元陸軍大佐の井上忠男、戦犯釈放事務を行っていた元中央更正保護審査会委員の横溝光暉とともに、この裁判関係資料の収集に尽力しました。
昭和31年(1956)9月4日、戦争裁判に関する資料を「調査、収集、整理し、その重要なるものを編纂、印刷して、これを後世に残すこと」を目的とする「戦争裁判関係資料収集計画大綱」が法務省で省議決定されました。大綱の実施にあたって、昭和36年には「資料の収集整理(重要なものについて編纂、印刷)にとどめ、戦争裁判の批判検討はしない」という方針を決定しました。
豊田らは、これらの大綱に基づき、東京裁判の速記録や弁護人所持資料に加え、米国最高裁所蔵資料を入手し、生存する戦犯や弁護人・証人・参考人等への聞取りを精力的に行いました。また、厚生省に存在していた裁判関係文書を一括管理できるよう働きかけ、戦争受刑者世話会関係文書も受け入れるなど、戦犯をとりまく様々な資料の収集に努めました。
当館に移管されているA級極東国際軍事裁判記録は、和文と英文がそれぞれ対応する形で残されています。展示資料は、日本紙芝居協会会長であった佐木秋夫(1906-1988)の昭和21年(1946)6月における宣誓供述書で、参考資料として「戦争してゐるのだ」(昭和16年7月20日発行)と題された国策紙芝居の写しが添えられています。佐木は、「コノ紙芝居ハ、当時政府ノタメニ製作サレタ紙芝居ノ型ノ代表的ナ一例デアリマス」と証言するとともに、本紙芝居を法廷で実演しました。
なお、並べて展示した「巣鴨プリズンの印」は、現在は使用されていない「廃止公印」として、平成20年(2008)度に法務省から移管されたものです。
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