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14.大蔵省の資料保存と財政史編纂(2) ―昭和財政史資料

関東大震災後の大蔵省では、『明治大正財政史』の編纂と並行して、『昭和財政史』編纂のための資料収集も進められました。ところが昭和15年(1940)、落雷による火災が発生し、大蔵省は原局の事務室内に置いていた文書を再び失ってしまいました。一方で、関東大震災の教訓を生かした「不燃書庫」に収められていた「昭和財政史資料」等の文書は、焼失の難を免れることができたのです。

「昭和財政史資料」は、収集時期ごとに第1〜5号に分けられ、それぞれが38の分類によって整理されています(御大礼、財政、歳計、租税、関税、貿易、国庫制度、貨幣、国債、地方財政、金解禁、外国為替、預金部、金融、銀行、保険、国有財産、営繕・官庁用品統一、専売、行政、官制、議会、外交、経済、農林漁業、鉱工業、会社、東北振興、産業組合、交通、殖民、社会、震災、支那、満州、宗教、軍事、雑)。今回はこのうち「震災」に分類されている簿冊「帝都復興予算参考(一)」から、関東大震災後の公園整備に関する文書を展示しました。

さらに、敗戦後における大蔵省の文書管理について。庁舎の接収を受けた大蔵省は、受入れ先もままならないまま、数日間で大量の文書を運び出す必要に迫られました。職員による人力でかろうじて搬出できた文書もありましたが、この過程でも一部の公文書が処分されたり、散逸したりするという結果になりました。

大蔵省による財政史編纂は戦後も続けられ、『昭和財政史』『昭和財政史 ―終戦から講和まで』『昭和財政史 ―昭和27〜48年』『昭和財政史 ―昭和49〜63年』の全70巻として結実しました。資料保存の努力が、歴史を振り返るうえでの根幹となることを再認識させられる事例といえるでしょう。

公園設定理由書(東京の部)

※写真をクリックすると拡大画像が表示されます

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