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38.音声資料と媒体変換 ―憲法調査会関係資料
憲法調査会は、昭和31年(1956)6月11日に公布された「憲法調査会法」(法律第140号)に基づき、「日本国憲法に検討を加え、関係諸問題を調査審議し、その結果を内閣及び内閣を通じて国会に報告する」ために設置されました。
憲法調査会がとりあげた基本的問題点として、(1)日本の将来のためにいかなる憲法が最もふさわしいか、(2)日本国憲法は、運用の経験その他から見て日本の国情に合致しているか、(3)日本国憲法制定の経過をいかに評価すべきか、の3点があげられます。これに続いて、前文と各章(第1章天皇〜第10章最高法規)の問題が議論されました。
このうち「戦争の放棄」については、「第九条は現行のままでよいか」「改正を考える場合には、その基本的方向は何か」という問題から始まり、日本の自衛体制から見た第9条改正について議論が進められました。昭和38年7月12日に開催された第1部会第24回会議には、改憲に慎重な立場をとる政治学者の蠟山政道(1895-1980)が出席しています。蠟山は、国家の独立は維持すべしという改憲・護憲に共通する基盤があっても、「それから生まれてくる第九条論の方向は一致するわけじゃない」と述べています。
憲法調査会は、昭和39年に本文1,200ページ、付属文書4,300ページにわたる大部の報告書を内閣・国会に提出し、翌40年に解散しました。憲法調査会関連資料として、報告や議事録に加え、当館には議事録のオープンリールテープも移管されています。音声資料を納めたテープは、保存上・利用上の観点から、当館においてCDに媒体変換を行っています。また文書についても、近年の画像技術の進展をふまえ、原本の保存と並行して、マイクロフィルムやデジタル画像への媒体変換を進めています。
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