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7.伊勢湾台風からの復旧・復興

昭和34年(1959)9月26〜27日に、日本列島を縦断した台風15号は、東海地方を中心に戦後の風水害被害として最悪の犠牲者を出し、「伊勢湾台風」と命名されました。ここでは、伊勢湾台風からの復興の記録として、4つの機関から移管された資料を展示します。各機関の所掌に応じた、復興に向けての働きを垣間見ることができるでしょう。

はじめにご紹介するのは、海上保安庁灯台部監理課が作成した「航路標識告示案」です。灯台や浮標の設置、廃止、位置変更等に関する電報訳文が綴られています。このなかに、9月27日付けで大阪府の貝塚仮設灯浮標が「タイフウノタメ リウシツ」と記録されています。復旧まで、当初10日程度が見込まれていましたが、復旧の報告がなされたのは10月20日でした。

次に、内閣法制局から移管された「法令案審議録」から、「昭和34年9月の暴風雨により塩害を受けた農地の除塩事業の助成に関する特別措置法案」の審査記録をとりあげます。展示資料は、法制局での審査の際に参考とされた写真で、本法案は、10月30日の閣議に提出され、12月7日に法律第181号として成立しました。法律では、伊勢湾台風による高潮被害を受け、都道府県が行う除塩事業に対し、所要経費10分の9を国庫から補助することができると定めています。

続いて、同年12月に中部電力が作成した報告書『伊勢湾台風の被害と今後の対策』に掲載されている、点灯時最大電力量復旧のグラフです。翌35年2月18日に開催された科学技術庁の第364回庁議において配布されました。

同じく報告書としての性格を持つものに、防衛庁陸上幕僚監部が作成した『災害派遣行動史 伊勢湾台風』があります。昭和50年(1975)に刊行されたもので、陸上自衛隊の出動状況や行動計画についてまとめられています。

この伊勢湾台風をきっかけとして、昭和36年には災害対策基本法が制定されました。

関連資料伊勢湾台風上陸時の天気図

伊勢湾台風が上陸した時間帯(昭和34年9月26日午後9時)の天気図です。

天気図原図は関東大震災で焼失したため、当館には、大正12年(1923)以降の天気図が移管されています。時期によって異なりますが、「天気図原図」「アジア太平洋高層天気図」「北半球地上天気図」「極東天気図」などの天気図があります。

極東天気図・昭和34年9月(下)(写真点数:2点)
浮標の流失と復旧
昭和34年9月の暴風雨により塩害を受けた農地の除塩事業の助成に関する特別措置法
山元総需要でみた点灯時最大電力の復旧状況
『災害派遣行動史』

※写真をクリックすると拡大画像が表示されます

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