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25.司法文書の移管(2) ―裁判文書(司法府より)

前項(司法文書の移管(1))において、平成11年(1999)に国立公文書館法が制定されたことについて触れましたが、本法と司法文書の移管には深い関わりがあります。明治〜戦前の民事判決原本が廃棄に直面した当時、総理府の機関であった国立公文書館は「総理府本府組織令」に基づき行政文書の受入れのみ行っていました。そのため、当初は「民事判決原本保存法又は法制博物館法」が構想されました。

国立公文書館法の第15条によって、法制上では「国の機関」が作成した文書が移管される道筋ができましたが、内閣総理大臣と国の機関との協議による「定め」が必要でした。行政機関とは平成13年3月31日に「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」(定め)が閣議決定されましたが、司法・立法機関とはこの「定め」がなく、しばらくは両機関からの移管の手続きに至りませんでした。

その後、内閣府・国立公文書館と最高裁との間で協議が重ねられ、平成21年(2009)8月5日に内閣総理大臣と最高裁判所長官の間で行政機関と同様の「定め」が締結され、これを受けて司法文書移管の運びとなりました。

平成21年度には、明治8年(1875)から昭和30年(1955)完結分までの最高裁判所所蔵の民事判決原本および事件記録等保存規程第9条第2項に基づく「特別保存」とされている文書が移管されました。重要な判例となった事件などがこの「特別保存」に指定されており、展示資料は昭和17年(1942)の翼賛選挙を無効とする判決を下した「鹿児島県第二区衆議院議員選挙無効事件」の判決原本です。表紙の裏面には、昭和60年(1985)の整理の際、「従来戦災により焼失したものとされていたこの原本を発見した」と訟延主席書記官によって記されています。

鹿児島県第二区衆議院議員選挙無効事件判決原本

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