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40.生地見本 ―大正大礼記録
明治42年(1909)に皇室令第1号として「登極令」が制定され、天皇践祚とこれに伴う即位の礼、大嘗祭(だいじょうさい、五穀豊穣祈願)の儀礼に関する手続きが示されました。本令に基づいて、大正4年(1915)11月10日に大正天皇の即位の礼が、11月14・15日には大嘗祭が行われました。
大正5年5月には大礼記録編纂委員会が設置され、大礼記録の編纂に着手します。大正8年に「儀典ノ根柢ニ存スル真精神ヲ国民一般ニ周知セシム」ための『大礼記録』が、一般頒布用の出版物として刊行されました。大礼準備から実施、事後処理に至るまでが記録され、大正大礼の全容を伝えています。
一方で、詳密な記述により大正大礼の記録を後世に残すことを目的とした『大礼記録』も編纂されました。一般頒布用とは別に作成された詳細版の『大礼記録』は、当初公開を意図しておらず、宮内省図書寮と内閣文庫に納めるため2セットのみ作製されました。内閣所蔵分を当館が引継ぎ、巻1〜128からなる綴が木箱3箱に収められています。
これらの大礼記録は、大礼事務をつかさどった大礼使が残した事務文書に基づいて作製されたと考えられます。当館が所蔵する大正大礼関係記録は、決裁文書のほかに写真帖や調度品絵図も含んでおり、大礼の華やかな雰囲気を視覚的にうかがうことができます。展示資料「御裂地」(おきれじ)は、儀式に使用した御幣物・旛・装束などの生地見本です。昭和大礼や平成大礼の際にも、同様の布地が使用されました。
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