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[請求番号 181-0022]

検使楷梯(けんしかいてい)

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変死人が発見されたり、暴行事件等で死傷者が出ると、江戸の町方では町奉行所の同心(どうしん)(武家地の場合は目付<めつけ>および徒目付<かちめつけ>、寺社地であれば寺社奉行が派遣した大検使・小検使)が現場に出かけ、被害者の様子や関係者の取り調べを行いました。このような役目を当時「検使」と称し、検使にやって来た役人もまた「検使」と呼ばれていました。

検使は、死体や傷の状態を克明に記録するばかりでなく、現場の様子や関係者の供述をまとめ、自らの検分結果を上司に報告しなければなりません。自殺か他殺かの判定を行うためには法医学の知識も必要で、この困難な仕事を担当する役人のために、幾種もの検使マニュアルが著されました。

『検死楷梯』もそのひとつ。天保6年(1835)の自序で、著者の岡本弥一郎長之(幕府代官の手代)は、本書は初心者のための入門書に過ぎないと述べていますが、検使の基本的心得から、各種変死人(行倒・縊死・水死・自滅・相対死)の実例と報告書の例まで詳しく紹介されており、検使が多くの知識と経験を要する仕事だったことがわかります。

展示資料は、弘化3年(1846)に岡本長一が作成した写本で全1冊。岡本長之、長一の閲歴等は未詳。


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