25. 大地震暦年考おおじしんれきねんこう

[請求番号 166-0389]

安政3年(1856)刊。安政2年10月の序があり、安政の江戸地震の直後に著されたことが分かります。内容は、「元禄地震」の惨状を描いた図や「越後三条地震」の際の手紙の写し、あるいは「意太利亜国地震の図」(イタリアの震災の様子)、地震の前兆、予知器の紹介など盛りだくさん。地震と防災に関する知識をコンパクトに提供しようという著者の意図がうかがえます。大地震の前兆については「およそ地震する時は天気甚だ暖かにして星の光り殊に大きく」と記し、予知器は地震の前に磁気が失われる現象を応用したもの。地震の前兆は『安政見聞録』(展示資料2)にも「凡大地震のあるときは天色 朦朧もうろうとして空近く星の光り常に倍す」とあり、これは「元禄地震」の際の天野長重の言葉(展示資料23)とも通じます。磁石をセンサーにした予知器の図は『安政見聞誌』(展示資料2)にも掲載されており、松代藩士で西洋の兵学・砲術を学んだ佐久間象山(1811―64)のように実際に予知器を試作した人もいました(象山の地震予知器は、現在長野市松代町の象山記念館に保存されています)。

著者の山崎美成やまざきよししげ(1796―1856)は、江戸の薬種商長崎屋の家業を継いだ町人で著述家。多くの著作をのこし、安政3年7月に61歳で亡くなりました。全1冊。

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