10. 甲子夜話かっしやわ続編

[請求番号 特084-0003]

47歳で肥前平戸ひらど藩主を引退し本所の同藩下屋敷で悠悠自適の隠居生活を送っていた松浦静山まつらせいざん(1760―1841)の随筆『甲子夜話』の続編にも、「文政京都地震」の資料が書きとめられています。それは静山の親友林述斎はやしじゅっさい(幕府の儒官で大学頭を務めた知識人)の男ていていうから寄せられたもので、林家の京都屋敷で感じられた揺れが、7月2日から翌年正月(1月)17日まで詳しく記録されています。日々の揺れの大きさや回数ばかりでなく、家屋や土蔵の修繕・再建で職人が大忙しであることや、11月6日に再度大きな揺れを感じたことなども書き込まれていて、余震がおさまらぬなか、不安を抱きながら復興に励む京都の町の様子がうかがえます。

7月2日の激震から翌年正月17日まで、林家の屋敷では635回の揺れを感じました。未曾有の地震ですがどのように思われますかとてい宇に問われ、静山は「答ルニ言無シ」、何とも答えようがなかったとか。『甲子夜話』の名は、文政4年(1821)11月17日、甲子の日に起筆されたことに由来しています。静山はその後20年にわたってこれを書き続け、『甲子夜話』は、 正・続・三編合わせて278巻の大著となりました。全35冊。

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