37. 奈良柴
(ならしば)

[請求番号 218-0002]

音曲の世界にも名人と称された幕臣がいます。代表的なのが留守居番与力を務めた御家人の原武太夫(はら・ぶだゆう 名は盛和。通称は富五郎、武太夫など。1697年誕生。没年については1776年と1792年の両説あり)。若くして三味線の名手と讃えられた武太夫は、三味線音楽全般を習得するなど芸の研鑽に努めましたが、40歳で絃を断ち(三味線の演奏から遠ざかり)、その後は狂歌を詠み、また随筆『隣の疝気』等を著しました。戒名は翫絃院至妙日業居士。

『奈良柴』は別名『三絃根元記』。晩年、70歳前後の武太夫が、人に乞われて浄瑠璃や三味線音楽の由来を記した書で、巻末に三味線を演奏する人の心得を詠んだ22首の教訓歌が添えられています。

展示資料の『奈ら柴』(『奈良柴』)は、『燕石十種』所収。

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