14. 流芳録
(りゅうほうろく)

[請求番号 159-0004]

将軍に密着して日常生活の世話をする小性と小納戸は、いわば特権的な存在で、旗本のなかでもとりわけプライドが高い人々でした。その人数は11代将軍家斉のとき、計100人以上(『文政武鑑』)。将軍との絆の強さを物語る逸話もすくなくありません。

なかでも3代将軍家光(いえみつ)に小納戸として仕えた梶左兵衛佐定良(かじ・さひょうえのすけ・さだよし)の例は鮮烈です。家光の没後、41歳で日光に居を移し「日光定番」(「日光山守護職」とも)として家光の墓守≠務めた定良は、生涯独身を通し、元禄11年(1698)に87歳で没。大猷院殿廟(家光の墓所)の後に葬られました。

『流芳録』は幕府の役職別にすぐれた人物の逸話を紹介した書で、内山温恭編。天保7年(1836)成立。小納戸の項には、ほかに9代将軍家重に仕えた松平縫殿頭忠香の驚くべき話(朝寝坊の家重を寝具をはいで起こし、月代を剃った)なども載っています。全15冊。昌平坂学問所旧蔵。

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