24. 続編武林隠見録
(ぞくへんぶりんいんけんろく)

[請求番号 170-0035]

天野長重は、先手鉄炮頭から鎗奉行に転じ、その後、旗奉行在職中の元禄14年(1701)8月、81歳で老衰を理由に職を辞します。しかし引退後も、島原の乱に従軍した幕臣の唯一の生存者という自負もあって、誰はばかることなく持論を述べ、説教を垂れました。

寛延3年(1750)の序がある『続編武林隠見録』(柳角子著 古田忠義補)には、こんな話も。

元禄14年の某日。浅野内匠頭に斬り付けられた吉良上野介の屋敷に見舞に訪れた長重は、応対に出た吉良家の家老たちに「此度はとんだ災難でしたが、かすり傷でなにより。聞くところによれば、内匠頭の刃は上野介殿の烏帽子の縁に当たって大事に至らなかったとか。まったく烏帽子のお蔭で助かったようなものですね。以後は吉良家ご一同、その烏帽子を日夜あがめ奉るべきでしょう。皮肉たっぷりの長重の言葉に、吉良家の家老たちは返す言葉もなく、赤面するばかりだったとか。

展示資料は、全5冊。昌平坂学問所旧蔵。

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