26. 後撰和歌集
(ごせんわかしゅう)

[請求番号 特042-0001]
[請求番号 特009-0009]

成島仙蔵は、古典的教養に富むばかりでなく、達筆で手先もたいそう器用だったようです。

享和2年(1802)8月18日、塙検校(塙保己一)から紅葉山文庫所蔵の『後撰集』(後撰和歌集)が「御用立候御本」(有用で貴重な書)であるという書付が提出されたのを受け、若年寄の堀田摂津守正敦は、仙蔵に同書の「新写」(副本)を作成するよう命じました。

『後撰和歌集』は村上天皇の命で10世紀半ばに編まれた勅撰和歌集。紅葉山文庫はその大永2、3年(1522、23)の古写本を所蔵していましたが、虫損が甚だしいため、原本の保存のために副本が必要とされたのです。仙蔵は10月19日にこれを完成し、堀田正敦に提出。堀田は新写本を紅葉山文庫に収納するよう指示しました。

展示資料の『後撰和歌集』は、大永年間の古写本と仙蔵が作成した副本(それぞれ全2冊)。仙蔵は原本を忠実に模倣し、副本というより複製本に近いものに仕上がっています。いずれも紅葉山文庫旧蔵。

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