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 8.吾妻鏡あずまかがみ[重要文化財]

鎌倉幕府が編纂した歴史書。治承4年(1180)4月、平氏討伐を命じる以仁王(もちひとおう)の令旨(りょうじ)が伊豆の源頼朝のもとに届いた記事から、文永3年(1266)7月の宗尊親王(むねたかしんのう 鎌倉幕府6代将軍)の京都送還までが、歴代将軍の年代記の体裁で(文体は和風の漢文体)記されています。

編者・成立年とも未詳。北条氏の一門である金沢氏が編纂に深く関与し、幕府の日記や寺社の記録、御家人諸家に伝来する文書等を資料に、幕府の実務にたずさわった奉行人らによって編纂されたとする説が有力で、成立は西暦1300年前後と推定されています。

『古事記』や『日本書紀』以下の六国史が朝廷中心の歴史書だったのに対して、幕府の歴代将軍を軸に東国の武家社会の歴史を詳細に叙述しているのが最大の特色。『吾妻鏡』は戦国時代の武将たちに愛読され、江戸に幕府を開いた徳川家康も、愛読して武士の道理や治世の術を学びました。

展示資料は、天正18年(1590)の小田原攻めのとき、和議成立の謝礼として北条氏から黒田孝高(如水)に贈られ、慶長9年(1604)に孝高の子の長政から徳川秀忠に献上された、「北条本」と呼ばれる『吾妻鏡』の古写本です。書写年代は16世紀初頭と推定されますが、中には新しい写本も含まれ、徳川家康が自らの所蔵本と黒田家献上本ほかの写本によって、51冊から成る展示資料を編成したと推定されています。紅葉山文庫旧蔵。全51冊。

(請求番号:特103-0001)

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