[請求番号 183-0845]
江戸時代には、金貨・銀貨・銭貨の3種の貨幣が流通していました。展示資料は、このうち金座で金貨を製造する工程を手彩色で描いた絵巻物。文政9年(1826)成立。文政小判・文政二分金・文政一分金・文政一朱金の製造工程ほかが、上巻26図、下巻29図の全55図に収められています。
図の順番が工程通りでないのは機密保持のためでしょうか。絵巻物に添付された「訳書」と照らし合わせることで、作業工程が判明するようになっています。
文政年間(1818―30)の改鋳によって、金貨の品位は大幅に引き下げられ(元文小判の品位が65・7%なのに対し、文政小判の品位は56・4%)、幕府が多大な差益を得る一方で、金貨の流通量が膨張し、物価の上昇をもたらしました。
金座は、元禄11年(1698)に現在の日本銀行本店本館の所在地(現・東京都中央区日本橋本石町)に開設。「後藤役所」「金座人役所」「吹所」から成り、後藤庄三郎家が金座の長である御金改役を世襲(文政の改鋳当時は分家の後藤三右衛門が御金改役)。組織としては勘定奉行の支配下に置かれていました。
展示資料は、全2軸・1冊。