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51. オリザニンの発見(鈴木梅太郎)

展示資料は、昭和18年東京帝国大学農科大学(現・東京大学農学部)教授の鈴木梅太郎が勲一等瑞宝章を受章した際に、審査の参考として添付された業績に関する文書です。

明治43年、鈴木は、米麹の中に脚気治療に有効な成分「アベリ酸」があることを発見し、これを抽出して「オリザニン」と名付け、明治44年「米糠中の一成分アベリ酸の製法」(特許第20785号)として特許を取得しました。オリザニンは、現在では「ビタミン(B1)」として知られています。「ビタミン」は、鈴木とほぼ同時期に同様の発見をしたポーランド人科学者C・フンクが命名したもので、鈴木の国際学会への発表がフンクより遅れたために、現在では「ビタミン」という名称のほうが普及しました。

さらに、オリザニンには、発表当時日本の医学界から拒絶されたという事情もありました。脚気はビタミンの欠乏から起こる病気ですが、当時の日本医学界では伝染病によるものとの説が有力であり、医学ではなく農学博士の鈴木が主張する学説は医学界では容易に受け入れられなかったのです。

このように発表当初から鈴木の発見は不運な境遇にありましたが、研究が進むにつれビタミンの栄養学上の有効性が認められ、鈴木の功績も評価されるようになりました。

故鈴木梅太郎叙勲の件
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