ここから本文

24. 錦莞莚の発明(磯崎眠亀)

展示資料は、筵織機の図面とこれを発明した磯崎眠亀(1834―1908)が明治29年緑綬褒章を受けた際の文書です。筵(むしろ)とは、藁やイグサで編んだ敷物のことで、茣蓙(ござ)や畳表として使われています。磯崎は、この筵を「錦莞筵(きんかんえん)」として高級輸出品にまで高めました。

磯崎は、初め外国産の生糸をつかった小倉織機を発明、販売していましたが、セイロン(現・スリランカ)の織物から着想を得て筵織機の開発に取り組み、明治11年染色イグサを緯糸(よこいと)とし、綿糸を経糸(たていと)として模様を織る機械を発明しました。磯崎の発明までの苦労はすさまじく「失敗のうえにも失敗を重ね、赤貧洗うがごとし。しかれども、少しも志たわめず、いよいよ勇気をふるって考案を続け・・・」と明治43年に発行された国定教科書『尋常小学読本巻十』で取り上げられたほどでした。

磯崎はさらに、明治12年にイグサを美しい色に染める「塩基性染色法」を考案し、また、どの部分にも模様を織り込める「紋様挿藺機」を開発して完成度を高め、錦莞筵と名付けて海外へ輸出しました。錦莞筵は、第四回内国勧業博覧会で名誉賞を受賞するなど国内での評価も高く、また、磯崎が染色法を地元業者に伝授したこともあり、磯崎の出身地である岡山県ではイグサの栽培、製品化が盛んに行われました。

磯崎眠亀緑綬褒章下賜ノ件
写真をクリックすると拡大画像が表示されます

※写真をクリックすると拡大画像が表示されます


本文ここまで



ページここまで