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21. 茶葉粗揉機の発明(高林謙三)

特許制度が始まった明治18年には425件の特許が申請されましたが、この時に特許を得たのは99件でした。その中で特許2〜4号を取得したのが、埼玉県の高林謙三(1832―1901)による製茶機械でした。埼玉県狭山で茶園を経営していた高林は、茶の生産量の増加には機械化が必要なことを痛感し、生葉茶葉蒸器械(特許第2号)、焙茶器械(特許第3号)、製茶摩擦器械(特許第4号)を発明しました。

茶は、つみ取った生葉を蒸気で蒸し、熱風を当てて揉みながら乾燥させるなどして製造しますが、高林の発明品は、この工程ごとに機械化したものでした。高林は、一つの機械で茶を製造しようと研究を続け、その後も発明を行いましたが、出来上がった茶は不評で次第に経済的に困窮していきました。しかし、明治31年に特許を取得した「高林式茶葉粗揉機」(特許第3301号)は、手揉み動作を機械内部に備え付けたもので、製茶機械化への道を開く画期的な発明でした。

ただし、今日でも手揉みの茶葉が重宝されるように、コスト、品質の面から茶製造の機械化には長い時間がかかりました。高林式茶葉粗揉機も、茶の製造工程の一つを機械化するものであったために普及したのであり、実際は手揉みと併用して使用されていました。

故 高林謙三(埼玉県)
特許明細書(生葉茶葉蒸機械・焙茶機械)
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