企画展

平成28年度 第3回企画展 「書物を愛する人々」

平成28年度 第3回企画展 「書物を愛する人々」


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概要

書物を愛する人々(蔵書家)は、どのようにして書物を収集・保管し、そして活用したのでしょう。仁正寺藩(にしょうじはん、現在の滋賀県蒲生郡)の藩主・市橋長昭(いちはしながあき、1773〜1814)は、蔵書の中から選りすぐりの漢籍30点を湯島聖堂に献納し、学問の発展を願いました。また大坂の豪商・木村蒹葭堂(きむらけんかどう、1736〜1802)の蔵書は、その死後、幕府へと献上されました。本展示では、国立公文書館のコレクション形成に大きく寄与した蔵書家を紹介するとともに、書物の奥深い世界を紹介します。



主な展示


そうはんとうばしゅう

〔宋版〕東坡集(そうはん とうばしゅう)
 北宋(960〜1127)を代表する文人・蘇軾(そしょく、1036〜1101)の詩文集です。 本書は、『東坡集』として現存する最古の版本で、南宋(1127〜1279)の時代に刊行されました。旧蔵者は、仁正寺藩主の市橋長昭で、湯島聖堂へと献納した三十部のうちの一つです。昭和31年(1956)に国の重要文化財に指定されています。



そうはんよしょうせんせいしゅう

〔宋版〕予章先生集(そうはん よしょうせんせいしゅう、『予章先生文集』とも)
 北宋の文人・黄庭堅(こうていけん、1045〜1105)の詩文集です。本書は、南宋の時代に刊行されたもので、黄庭堅の詩文集として最初のものといわれています。旧蔵者は、『東坡集』と同じく市橋長昭で、『東坡集』とともに湯島聖堂へと献納されました。昭和32年(1957)に国の重要文化財に指定されています。



そうはんきょそうこういん

〔宋版〕鉅宋広韻(そうはん きょそうこういん)
 26,194の漢字を、206の韻(漢字音の末尾のひびき)に基づいて分類整理し、それぞれの漢字の発音と意味とを記した韻書といわれる書物です。本書は、『鉅宋広韻』のうちで最も古い刊本で、一冊も欠けずに現在まで伝わるものは、当館の所蔵本だけです。旧蔵者は、大坂の豪商・木村蒹葭堂で、その死後、約三千冊の蔵書が昌平坂学問所に収蔵されました。昭和32年(1957)に国の重要文化財に指定されています。



こうきじてん

康煕字典(こうきじてん)
 清の康煕帝(在位1661〜1722)の命によって編纂された漢字字典です。本書は、小笠原氏(小倉新田藩主)が湯島聖堂に献納した書物で、美しい装丁の帙(ちつ)(書物を保護する包み)はもちろんのこと、この書物を収めた書箱も見事な出来映えです。