公文書等は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であり、その適切な保存及び利用は、行政の適正かつ効率的な運営を図るにとどまらず、現在及び将来の国民に対する説明責任を果たし、我が国の歴史・文化及び学術に係る研究等の振興並びに国民のアイデンティティ形成にも寄与するものです。
国立公文書館は、このような国の基本的な責務を担う機関であり、昭和46年(1971年)に設置されて以来、歴史公文書等を適切に保存し、また、当館に親しみを持っていただく展示等を企画するなど、歴史公文書等の保存及び利用等に関する拠点としての機能を果たしてまいりました。
令和3年(2021年)には開館50周年を迎え、これを記念する新たなキャッチコピー「記録を守る、未来に活かす。」(Archives : Evidence from the Past, Beacon for the Future)を作成しました。ここには、国民共有の知的資源である特定歴史公文書等を永久保存し、多くの皆様に積極的に役立てていただくという、当館の理念が表されており、まさに国立公文書館の新たな一歩を象徴するにふさわしいキャッチコピーだと考えています。
現在、新館の開館に向けて、我が国の公文書管理を担う中核的な施設(Center for Archives)としての地位を確立すべく、第一に現在及び将来の国民にとって、第二には行政機関等にとって、第三に地方公文書館をはじめとする他機関等にとって、より有用で利用しやすい場になるよう、職員と一丸となって改革を進めております。
皆様からの御理解と御支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
独立行政法人国立公文書館長 鎌田 薫
(参考)「新館開館に向けた国立公文書館のビジョン」(アーカイブズ第93号、令和6年8月30日発行)