企画展

国立公文書館つくば分館 令和4年度 夏の企画展「なぞとき公文書館−紙と文字からきこえる本の声−」

「なぞとき公文書館−紙と文字からきこえる本の声−ポスター

【展示会】

概要

 ――耳を傾ければきっと聞こえてくる、紙と文字からきこえる本の声。  世界には1冊として全く同じ本は存在しません。 なぜなら同じ題名や内容を持っていたとしても、印刷した時期や持ち主が異なっていれば、それぞれ違う来歴を持っていることになるからです。 本の形や紙の素材、筆跡や蔵書印、果ては書き込みや虫食いなど、本に残された様々な手がかりに注目することで、 本だけでなく歴史や文学の来た道を辿ることができるかもしれません。 本展では、本の形態や素材に着目する「書誌学」の手法を使って、当館が誇るコレクションである内閣文庫の古典籍・古文書の中の様々な知識を教えてくれる本たちを、謎解きしながらご紹介します。

主な展示資料


金吹方之図(かね ふきかたのず)

金吹方之図(かね ふきかたのず)
 金貨の製造工程を描いた絵巻物で、文政9年(1826)頃の写しです。絵が製造工程の順序通りに描かれておらず、添付された「訳書」と照合して初めてその順序が判明する仕組みになっています。 機密保持のため意図的に順序を入れ替え混乱させている可能性があります。




古今著聞集(ここん ちょもんじゅう)

古今著聞集(ここん ちょもんじゅう)
 元禄3年(1690)初版の『古今著聞集』を明和7年に再版したものです。見返しに貼り紙が残っており、「又貸し禁止」「紛失の場合は弁償」といった注意書きがあることから、貸本屋の蔵書であったと推測されます。 また、元薩摩藩士で東京国立博物館の初代館長となる町田久成の蔵書印があることから、貸本屋から町田の手に渡ったと推測されます。




三十六人歌合(さんじゅうろくにん うたあわせ)

三十六人歌合(さんじゅうろくにん うたあわせ)
三十六人の歌人の和歌を左右に配置して歌合の形式にしたもので、文禄3年(1594)の写しです。 本文は戦国時代末期に関白・太政大臣を務めた近衛前久の筆、表紙の見返しに描かれた龍や虎は、狩野探幽が描いたと伝えられており、とても豪華なつくりとなっています。