2019年10月19日(土)から25日(金)まで、国際公文書館会議(International Council on Archives, ICA)の第6回年次会合が、
オーストラリア、南オーストラリア州の州都・アデレードで開催されました。ICAの年次会合は、専門家プログラムやワークショップの他、
執行委員会・通常総会等の運営会合、国立公文書館長フォーラムなどの様々な会合・セッションで構成され、4年に一度のICA大会が開催される以外の年に開催されるものです。
今回の会合は、オーストラリア国立公文書館、オーストラリア・アーキビスト協会、ニュージーランド・アーカイブズ・記録管理協会、ICA太平洋地域支部(PARBICA)と
ICAによる共催で、アジア・オセアニア等の地域を中心に、60か国以上から700名を超えるアーカイブズ関係者が参加しました。
>> ICAアデレード年次会合サイトはコチラ (英語)
1.ICA運営会合等
ICA執行委員会は、今年初めから行われていた2020-2024戦略プラン策定にかかる調査・検討結果を受けて、ICA憲章見直しも含めた、今後の体制の見直しにかかる話し合いが行われました。
また、分担金支払状況や活動実態の有無を確認した結果、現会員数が約2,000会員から約1,300会員へと減少したこと等が報告されました。さらに、これまで専門家グループのカテゴリーで活動していた
「人権にかかるワーキンググループ(Human Rights Working Group)」が、「アーカイブズと人権に係る専門セクション(Section on Archives and Human Rights)」として再組織されることとなりました。
通常総会では、2020年度の予算案及び分担金額案が承認されたほか、次回年次会合の開催地はローマであること、但し開催については2年に1度へと変更する可能性について検討が進められることが報告されました。
また、長年にわたり国際的なアーカイブズの活動に貢献した人々に贈られるICAフェローの認定にあたって、日本が所属する国際公文書館会議東アジア地域支部(EASTICA)の事務局長を20年以上にわたって務め、
当該地域におけるアーキビスト養成に携わっているサイモン・チュー氏他2名がフェローとして承認され、フェローシップ授与式が行われました。
国立公文書館長フォーラムでは、「アーカイブズ遺産の共有にかかる専門家グループ」により、過去の植民地統治等に関する記録に関する作成者情報の記述方法についてのワークショップが開催されました。
また、紛争地域のアーカイブズを避難させるスイス・ピースの取組みや、近年のオーストラリア国立公文書館の取組みなどが紹介されました。
2.専門家プログラム
本会合では、専門家プログラムのテーマ「アーカイブを設計する」のもと、36のセッションや、10のワークショップが開催されました。オセアニアの地域色が豊かなセッションが多く、
アーカイブズや記録管理によって先住民の言語や文化の保存や振興が促進されることに言及した発表も多くみられました。最終日の25日には、先住民問題サミットも開催されました。
>> 年次会合専門家プログラムはコチラ [PDF:930KB](日本語)
当館からは、中田理事が「日本におけるアーカイブズ専門職の養成体制を設計する」と題して発表を行い、 当館が現在取り組んでいるアーキビスト養成や、「アーキビストの職務基準書」策定に係る取組みについて報告しました。
なお、来年2020年は、11月16日から20日まで、4年に一度のICA大会がアラブ首長国連邦のアブダビにて開催されます。
開会式で挨拶するデビッド・フリッカーICA会長
ICA通常総会
国立公文書館長フォーラム
当館理事による発表の様子
※ICA年次会合の詳しい内容は、当館の情報誌web版「アーカイブズ」第75号 に掲載しております。