国立公文書館 統括公文書専門官室
公文書専門員 渡辺悦子
1.はじめに
2019年10月19日(土)から25日(金)にかけ、オーストラリアの南オーストラリア州都・アデレードにて、国際公文書館会議(International Council on Archives、ICA)年次会合が開催された。ICA年次会合は、4年に一度開催されるICA大会以外の年に開催される会合であり、執行委員会・通常総会等の運営会合、国立公文書館長フォーラムや専門家プログラムによって構成される[1]。今回の年次会合は、オーストラリア国立公文書館(National Archives of Australia、NAA)、オーストラリア・アーキビスト協会(Australian Society of Archivists、ASA)、ニュージーランド・アーカイブズ・記録協会(Archives and Records Association of New Zealand)、ICA太平洋地域支部(PARBICA)と ICAによる共催で、アジア・オセアニア等の地域を中心に、60か国以上から700名を超えるアーカイブズ関係者が参加した。
2.運営会合
2.1 執行委員会(10月20日)
2020⁻2024戦略プラン策定に向けて2019年初頭から行われていた会員へのアンケート調査・聞き取り調査の分析にかかる中間報告があり、多様な要望にICAが応えていくためには大幅な体制の見直しが必要となること、そのためICA憲章の改訂や、年次会合開催を2年に一度とする可能性を検討していくことが確認された。また、ここ数年間続けられていた会員の活動や分担金の支払状況の調査結果から、一定期間分担金未支払いの会員を会員数から除くなどの整理をした結果、会員数が2,000会員から1,300会員へと減少したことが報告されたほか、ICAが今年から配信を開始したオンライン研修プログラムの実施や、2020年アブダビ大会の準備状況、ICA事務局業務の電子化に向けた取組などが説明された。
2.2 通常総会(10月22日)
通常総会は、ICA憲章により年に一度の開催が定められている最高議決機関である。総会では、年間の活動報告がICA会長から、各専門家グループやアーキビストとして仕事を始めて5年以内の新規専門職を対象に行われるNew Professionalプログラム等の活動がICA副会長(プログラム担当)から紹介されたほか、2020年度の分担金案及び予算案が承認された。また、次回年次会合開催地はローマであることが公表されたが、開催年については2020年アブダビ大会の翌年に実施しない可能性について検討することが告知された。さらに、長年にわたり国際的なアーカイブズの活動に貢献した人々に贈られるICAフェローの認定に当たっては、日本が所属するICA東アジア地域支部(EASTICA)の事務局長を20年以上にわたって務め、 当該地域におけるアーキビスト養成に携わるSimon Chu氏を含む3名[2]がフェローとして承認され、フェローシップ授与式が行われた。
2.3 国立公文書館長フォーラム(10月23日)
国立公文書館長フォーラム(Forum of National Archivists、以下FAN)は、各国の国立公文書館長を会員とし、ICAの執行委員会やプログラム委員会を通じてICAと連携しながら、アーカイブズ資料の保存・管理、機関の運営等にかかる専門的知識の共有や意見交換を行い、またその成果を広くICA全体でも共有していくことを目指す場として、春期はICA執行委員会、秋期はICA年次会合(もしくは大会)にあわせて年2回開催されている。
アデレード会合でのFANは、国家間の歴史問題を背景にする課題として、FANにおける近年の主な関心事項の一つとなっている、「Displaced Archives(紛争や植民地支配等の結果、本来のあるべき場所から移動させられたアーカイブズ資料)」を中心に進められた。
まず、「アーカイブズ遺産の共有にかかる専門家グループ(EGSAH)」の議長、Njörður Sigurðsson氏(ノルウェー国立公文書館)より、2018-2019年に行われたDisplaced Archivesにかかる調査結果が報告された。この報告では、Displaced Archivesは国家間の外交関係の機微に触れる問題と関わっている場合が多く、調査そのものが難航した一方、調査結果からは件数は多くないものの資料の返還に関する協議が実際に進行している事例なども紹介された[3]。今後EGSAHでは、国家間交渉を促進するガイドラインやプロトコルなどを策定していくとのことである。なお、報告の後、資料へのアクセス促進や、利用者に資料の歴史的背景を正しく伝えるためには、Displaced Archivesの目録記述における出所情報(provenance)をどのように扱い、記載する必要があるかを議論するワークショップが行われた。
3.専門家プログラム(10月22日~24日)
年次会合の中心をなす専門家プログラムは、「アーカイブを設計する(Designing the Archive)」をテーマに、3日間にわたり139名の発表者による58セッションが行われた(プログラムはコチラ)。
3.1 開会式
開会式ではまず、アデレードの先住民族であるガーナ族の長老、 Michael O’Brien氏の歓迎の挨拶[4]があり、本年次会合が知識、真実の共有と、人々の声を伝えるものとなるよう、そして参加者と先住民族の文化を一つにし、調和をもたらすよう、この土地を観察し、土地の声を聴いてほしいとした。
続いて、Hieu Van Le南オーストラリア州知事からの開会宣言があった。今年はオーストラリア初の政府公文書館がアデレードに開館して100周年であるなど[5]、アデレードにとって記念すべき年に本会議が開催されることの喜びが述べられるとともに、過去の記録は、我々の社会の理想の原点を思い起こさせてくれるものであり、貴重な資源としての過去を保存し、未来への道標としていこう、と結んだ。
また、David Fricker ICA会長からの挨拶では、民主主義がもつ意味や人々の政府への期待が予想のつかない形で進化し、「真実とは何か」の答えや、人々の過去とのつながり方は、より断片的、個人的になりつつある。ただ一つ一貫性を持って言えることは、アーカイブズは記録という「証拠」を保存する場所であり、これら「証拠」によって、次世代の人々が自らの「真実」にたどりつけるよう、誠実に役割を務めていかなければならないということである。本年次会合では、描く世界の中心に「人」、すなわちアーキビストや利用者を置き、アーカイブズの使命と課題を自らに改めて問いかける場としてほしいと呼びかけた。
以上に加え、ASA会長のJulia Mant氏や、Ancestory[6]のQuinton Atkinson氏、NAA副館長のTeresa Ward氏から、本年次会合の共催者として挨拶や講演があった。開会式の締めくくりには、南オーストラリア州におけるアボリジニ出身の最初のアーキビストとなったLoris Elaine Williams 氏(1949-2005)を記念した講演[7]として、「国立アボリジニ言語・音楽研究センター」による近年の取組が紹介された。
3.2 基調講演
3.2.1 「政治戦略としての評価選別:抑圧の中で我々の価値を中心に据える」
Michelle Caswell アメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校准教授
アーカイブズにおける評価選別と、そのプロセスにおけるアーキビストの役割を再考するための、認識論的試論にかかる講演である。現在、欧米を中心に確立しているアーカイブズ理論は、歴史的に支配階級にあった白人男性[8]の認識のもとに形成されたものとし、そこからの脱却のカギとなるのが白人至上主義に抑圧された弱者側の視点、すなわち「フェミニスト視点」であるとする。「フェミニスト視点」の認識とは、単に「中立的」な立場を保つのではなく、抑圧され、あるいは周縁化された人々のからの価値観を積極的に養おうとするものである。そうすることによって、「どこからでもない」と言われる客観性を持つための認識の転換を促し、アーキビストが記録を評価する際に、「抑圧者」となりうる立場にあることを自覚することができるとし、また過去・現在の社会のより包括的・全体的な記録の保存につながるとした。
3.2.2 「ファイルから私自身を解放する:人を中心にした記録保存」
Elizabeth Shepherd イギリス・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)教授
UCLで行われているMIRRA(記憶Memory, アイデンティティIdentity, 記録における権利Rights in Records, アクセスAccess)プロジェクトにかかる講演である。人は、個人や家族に関わる様々な記録や記憶によって自己形成を行うが、児童養護施設や里親制度で育った子ども(Care Leavers)は、そういった記録へのアクセスが心情的だけでなく、制度的にも難しい状況がある。それは、記録が様々な機関に分散して保存されていたり、データ保護法などにより開示されなかったり、記録を確認したいという気持ちがそもそも理解されないなどの様々な妨げがあるためである。プロジェクトは、Care Leaversが社会福祉記録にアクセスし、自分自身の物語を再構築していくことを支援するものであり、記録管理に個人が積極的に関わることの重要性を示すものであった。
3.2.3 「私たちのデジタルな未来」
Marek Kowalkiewicz オーストラリア・クィーンズ工科大学教授
AI等のテクノロジーが普及するなど、我々は情報技術を基盤として動く経済、デジタル・エコノミーの発展の中で生きている。技術動向は我々の生き方・働き方を変えていき、我々はそれら技術にどのように対応していくかが問われる中、アーカイブズがどのように社会に応えていくか、社会と関連性を持ち続けるかは、今後デジタルといかに関わっていくかということが重要な課題となる。講演者は、これまで同義語とされてきたDigitisation(電子化)とDigitalisation(デジタル化)を異なる概念であるとし、前者は旧来の業務を電子的に行うことにすぎないが、後者はDigitise(電子化)されたものをもとに業務プロセスを変革し、新しい考え方で新しい価値を生み出していくことをいうとした。アーカイブズが「電子化」を越えて「デジタル化」されていくために、記録管理や記録そのもの、そしてアーカイブズの利用者と彼らが求めるものを再考していくことが必要であり、アーカイブズにHive(活気、にぎやかさ)をもたらそうと結んだ。
3.3 専門家プログラム
3.3.1 各国国立公文書館の取組み
3.3.1.1 「全ての人のためのアーカイブズ」
Jeff James イギリス国立公文書館/館長
イギリス国立公文書館(TNA)が2019年に策定した戦略「全ての人のためのアーカイブズ(Archives for Everyone 2019-2023)」を中心に、TNAのこれまでの成果と今後の挑戦を、特にアウトリーチ活動に焦点をあてて紹介した発表であった。2018-19年の戦略として策定された「アーカイブズを解き放つ(Archives Unlocked)」では、信頼(Trust)・充実(Enrichment)・開放(Openness)を柱に、我々は何者であるかという問いに立ち返り、能力や本質に向き合ったことで、その潜在力に気づくことができた。
新しい戦略では、「起業家としての(Entrepreneurial)アーカイブズ」、「常識を覆す(Disruptive)
アーカイブズ」、そして「受容する(Inclusive)アーカイブズ」をめざし、様々な垣根を超え、幅広い利用者に存在を届ける活動を行うこととした。これらのことは協力と協働によってなしうるものであり、すでに国内外のチャリティ団体や大学、民間企業などとのプロジェクト[9]が積極的に展開されている。また、館の建築は組織としてのアイデンティティを体現したものであるべきという考えから、今後、利用者にとってより開放的な空間となるよう改築に取り組む予定である。2020年、TNAはさらなる一歩を踏み出すため、円滑な事業の基盤となる資金調達のメカニズムを整備することを目的に、National Archives Trustを立ち上げる。この団体は、TNAの建物の改築や、国内の教育機関に対する事業、資料の保存事業をサポートするために活動することとなっているとのことである。
3.3.1.2 「共感と試み:地域での取り組みと協力を通じてアーカイブズへの信頼を構築する」
Timoci Balenaivalu フィジー国立公文書館/館長代理
フィジーでは、国立公文書館(National Archives of Fiji、NAF)は、島嶼国家のため地理的アクセスが制限されることや記録に書かれる言語と話し言葉の乖離、利用は有料といった誤解もあり、長らく国民にとって身近な存在ではなかった。こうした垣根をなくすため、積極的なアウトリーチ活動を行うことで、アーカイブズが国民のものであることを伝える取組を行っている。
社会的に疎外感を持ちやすかった移民労働者やその子孫達に対しては、2016年、フィジーにおける移民労働者入植開始150周年を記念し、関係する記録を使用した展示などの取組を行ったことで、彼ら自身に歴史があることを知らせることに成功した。また、独立問題を抱えるロツマ島には、伝統的社会システムや部族関係を示す重要な記録である土地の譲渡証書などの原本資料の返還を行い(複製を作成してNAFにも保存)、信頼を得ることにつながったという。これに加え、近年はソーシャル・メディアなどを利用し、より先進的な機関であろうと努力しているとのことである。
3.3.1.3 「最先端技術がアーカイブズの物理的・倫理的防御にどう影響するか:オーストラリア国立公文書館の取組み」
Tatiana Antsoupova オーストラリア国立公文書館/情報ガバナンス部アシスタント・ディレクター
NAAでは、セマンティックwebや自然言語処理、機械学習といった先端技術に常に目を配り、業務に取り入れることが可能かを検討しており、近年は館が管理するデータベースのセマンティック化につとめている。特に、2018~19年にかけては、NAAが政府機関の機能や構造を記述するためのデータベースを保有していることから、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)を中心に実施された「政府機能の背骨」プロジェクト(Longitudinal Spine of Government Functions)[10]に参加した。プロジェクトは、政府機関で個別に使われている様々なデータベースを機械可読かつ相互運用可能に整備することによって、各政府機関が、スタッフや予算、各種報告書作成などでのデータ作成をより効率的に行えるようにするための取組みである。
NAAではさらに、記録の保存期間設定や評価選別、廃棄にかかる承認のプロセスの人工知能活用による自動化に向けた取組みにもつとめている。実現には機械に学習させるために使用するデータの均一化やデータへのラベル付けが不可欠であるが、上記のような各種プロジェクトでの蓄積が活用されているとのことである。
3.3.1.4 「日本におけるアーカイブズ専門職の全国的枠組みを構築する」
中田昌和 国立公文書館/理事
当館からは、日本における新しい時代を担うアーキビストの人材養成にかかる取組みを紹介した。
国立公文書館は、1987年の公文書館法の成立以降、国及び地方公共団体の職員を対象に様々な研修を提供し、また国内の他機関や大学等と教育機関と協力しながら、専門職員の養成を担ってきた。近年、公文書等の管理を支える専門職の養成に対する社会的ニーズの高まりを踏まえ、公文書等の管理を担うアーキビストの職務とその遂行上必要な知識・技能の明確化を目的とした「アーキビストの職務基準書」の作成に着手、国内の関係機関や専門家等との意見交換を重ね、2018年12月に確定に至っている。基準書の策定は、専門的知識・技能を確認し、向上させる手引きを見出す機会であっただけでなく、電子化の進展など取組みの途上にある行政運営の現状や課題の認識にもつながり、今後は、高等教育機関とも連携して養成プログラムを開発し、さらにアーキビストを日本社会に根付かせるべく、認証制度の確立に向け、速やかに認証を開始していきたいと結んだ。
3.3.2 様々な取組み
3.3.2.1 「デジタル・スチュワードシップ(電子的管理)の最初から最後まで:ボーンデジタル・コンテンツのための(保存にかかる)決定とワークフロー」
Somaya Langlay シドニー大学/デジタル・キュレーション・マネジャー
デジタル・コンテンツの保存にかかる理論を実務に落とし込むプロセスを扱った発表である。
電子的な記録の管理、保存には、活動や活動の行為者の文脈によって様々な用語が使われており[11]、また統一された定義がない場合もあるが、電子的に作成されたものを長期にわたってケア・管理する全ての活動を含む「デジタル・スチュワードシップ(Digital Stewardship)」が、電子的に作成された様々なコレクションの管理者にはマッチした言葉であるとする。その上で、アーカイブズ理論を代表するコンティニュアム論や、情報の長期保存システムの構築に有力とされるOAIS参照モデル[12]など様々な既存のモデル[13]に見られるプロセスを比較、整理し、それらに含まれる全てのプロセスを包括した、14のプロセス[14]にマッピングし、デジタル・スチュワードシップのプロセスを視覚化した。その上で、保存対象となる電子的に作成されたコンテンツを、ボーンデジタルの個人記録、デジタル化したコンテンツなど6種類[15]に分類し、それぞれのコンテンツが14のデジタル・スチュワードシップのプロセスのどの時点でどのような管理に関する決定を行う必要があるかをマトリックスに表したものが紹介された。
3.3.2.2 「設計段階における言葉:アーカイブズ記述の課題」
Julie Fenley オーストラリア・ビクトリア大学/Kirsten Write 同メルボルン大学
記録資料には過去に使用されていた差別的な言説等が残されるものがあるが、そうした差別用語が現資料のタイトルのまま目録に転記される等の場合がある。本発表では、過去の負の意識を未来に継続させないためにアーキビストは何をすべきかという視点から、目録記述の在り方を考える、討論形式の双方向型セッションであった。まず、差別的と考えられる言葉とはなにか、それらの言葉が目録(特にタイトル表示)に掲載されている場合はどうしているか、また差別的な内容が含まれる資料には閲覧時の注意表示(Content Warning)を行っているかといった問いに対し、現在は差別用語となっている歴史的な言葉がタイトルに掲載されているが、当該タイトル名で資料を探す利用者がいるため変更は難しいという意見が出される一方で、タイトルからは削除し、備考などに記載する処置をとる機関もあり、そうした情報を載せていたという記録を残すことも重要とする意見もあった。セッションは、各機関に持ち帰ってこれら議論を続けることが必要であることを確認し、終了した。
4.おわりに
今回のアデレード会合は、アーカイブズの世界で近年とみに注目をあつめてきたアーカイブズにおけるデジタル技術への対応の問題に一呼吸入れた時、それだけではない様々な課題があることを改めて示したものと言える。加速度的に多様化する社会の中で、人々と関わりを持ち続けるためには、アーカイブズがどこまで人々の多様性に向き合えるかが問われており、そのためにはアーカイブズの新しい枠組みの「設計(design)」が求められていることを感じさせ、またそれに取組むアーカイブズの試行錯誤を垣間見るものであった。
[註]
[1]本会合では、2019年が国連の定める国際先住民族言語年であることに鑑み、最終日には「先住民サミット」も開催されている。
[2]他2名は、オーストラリアのアーカイブズ研究者であるAdrian Cunningham氏と、カリブ地域支部議長やICA会長代理などを務め、2006年の国際公文書館円卓会議キュラソー会合を運営したNolda Romer Kenepa氏。なお、本稿における外国人の人名表記については、正確な日本語表記が困難なため、外国語表記のみで統一した。
[3]ICAを通じてFANメンバーを中心とした会員に調査依頼を行い、27件の有効回答が得られたものの、南アメリカ、アジア、太平洋地域からは0回答であったこと、また3つの国立公文書館からは現在進行中の二国間協議に影響を与えるため回答を拒否する連絡があったという。なお、近日中に調査報告は英語・フランス語で公開予定とのことである。
[4]正確には「Welcome to Country」と英語に訳される、オーストラリアの先住民族であるアボリジニの各種部族によって行われる伝統儀式。土地やその文化の重要性に言及するもので、各部族の長老によってとり行われ、形式は部族によって様々である。
[5]この他、女性の参政権を認めた世界初の普通選挙が、アデレードのある南オーストラリア州で実施されて125周年でもあるとのことである。
[6]アメリカ・ユタ州を拠点に、様々な公的・民間記録をオンラインで提供している民間企業で、各国の公的アーカイブズなどと協働して資料のデジタル化事業などを行っていることで知られる。https://www.ancestry.com/ (access: 2020/1/31)
[7]「Loris Williams記念講演」は、ASA地域会合開催時に毎年行われているものである。
[8]Caswellはwhite(白人), ethnically European(ヨーロッパ系), bourgeois(中産階級), Christian(キリスト教徒), heterosexual(異性愛), able-bodied(健常者), male(男性) としWEBCHAMと呼んでいる。
[9]例えば歴史的建造物などを保護するチャリティ団体であるNational Trustとは、2018年に女性参政権100周年に関する、双方向で参加できるを駆使して普通選挙実施に当たっての難しい決定などを追体験させるもので、学校教育に多く利用されるような館内展示などを開催。ドイツのUniversity of Oldenburgとの17~19世紀の資料の目録作成、翻刻、デジタル化のための20年に及ぶ研究プロジェクト、また、United Arab EmiratesとのArabian Gulf Digital Archiveの構築プロジェクト(50万に及ぶ湾岸地域の記録のデジタル化とオンライン公開)や、2019年には、イギリスで1921年に最後に行われた国勢調査記録のデジタル化につき、民間企業と契約、2022年1月の公開を目指している。
[10]https://longspine.cat/ (access: 2020/1/31)
[11]Langlay氏によれば、「Digital Archiving」は図書館やアーカイブズなど異なるコミュニティ間で用法が違い、電子記録・データの長期保存などを意味するが、コンピューター分野では長期保存というよりは電子的な記録・データをバックアップするプロセスや継続的なメンテナンスを意味し、「Digital Preservation」は電子記録・データを必要な限り継続的にアクセス可能な状態で管理することを目的とした、全ての研究や活動を含むという幅広い定義がなされている。また「Digital Curation」はライフサイクルを通じて電子的データ(特に調査用のデータ)を管理・保存し、また価値を与える行為」とされているという。
[12]Reference Model for an Open Archival Information System (ISO14721)。
[13]比較対象とされた既存のモデルは、Digital Curation CenterのCuration Lifecycle Model(2007)、アメリカのバージニア大学、スタンフォード大学図書館、イェール大学図書館、英国ハル大学図書館の協働によるAn Inter-Institutional Model for Stewardship(AIMS、2011)、オーストラリア国立フィルム・サウンド・アーカイブのABVDEモデル(2011-13)、Research 360 Institutional Research Lifecycle Concept (2012)、及びDigital Preservation Outreach Education (2010/11)。
[14]1. Conceive, 2. Prepare, 3. Create, 4. Evaluate & Negotiate, 5. Appraise, 6. Acquire, 7. Arrange & Describe, 8. Pre-Ingest, 9. Ingest, 10. Store & Manage, 11. Preserve, 12. Deliver and /or Provide Access, 13. Discover, 14. Use and/or Reuse。
[15](1)ボーンデジタルの個人/企業記録、(2)ボーンデジタルの大学記録、(3)研究成果物、(4)刊行されたボーンデジタル・コンテンツ(webアーカイブ、電子書籍など)、(5)デジタル化したコンテンツ(二次元、三次元画像など)、(6)所蔵機関で作成されたコンテンツ