国立公文書館長就任の御挨拶

国立公文書館長
鎌田 薫

   国立公文書館は、開館以来半世紀にわたって、特定歴史公文書等を保存し、一般の利用に供するとともに、歴史公文書等の保存及び利用に関する情報収集・専門的技術的助言・調査研究・研修等を行うことで、公文書管理の重要な一翼を担うとともに、中核的アーカイブズとして先導的な役割を果たしてまいりました。こうした歩みを承け継ぎ、デジタル化の進展など新たな事態に適切に対応しながら、さらなる発展に力を尽くすことが新任館長としての第一の任務であると考えています。
   私自身は、これまで法律学の教育研究に携わってまいりました。法律の解釈にあたっても、また新規立法の提案にあたっても、既存の法律が何を目指して、どのような検討を経て制定され、どのような結果をもたらしたかを調査・検討することが不可欠の作業となります。こうした事情は政治学や歴史学など他の学問分野でも同じだろうと思います。公文書管理法第4条が意思決定の過程や事業実績を合理的に跡付け又は検証することができるよう文書を作成しなければならないとしているのも同様の考慮に基づくものと理解されます。
   国立公文書館が開館50周年に当たって策定した《記録を守る。未来に活かす。》というキャッチコピーにあるように、歴史公文書等は過去及び現在の諸施策の意義と課題を検証するために不可欠の資料であるだけでなく、新たな施策を構想する上でも極めて有用な資料でありますが、現実にはそれに見合ったほど広く活用されていないように思われます。加藤丈夫前国立公文書館長は、こうした懸念に基づいて、国立公文書館をもっと多くの人びとに知ってもらうための活動に注力され、その一環として高度の能力を備えたアーキビストを公的に認証する仕組みを提唱されました。これは誠に慧眼であり、踏襲していくべきものと考えています。
   後者については、本年1月に、国立公文書館アーキビスト認証委員会の審査に基づいて第1期190名が認証され、間もなく第2期の募集を開始する手はずとなっています。前者については、デジタルアーカイブの更なる充実を図ることや、国会前庭に建設する計画が進められている新館において現在よりもはるかに広いスペースを確保して若い世代の人々にも親しんでもらえる展示をすることなどを通じて、歴史公文書等及びその保存・利用の重要性を認識していただけるようにしたいと考えています。
   今後とも国立公文書館及び公文書管理制度の発展に貢献できるよう尽力する所存ですので、よろしく御指導・御鞭撻をたまわりますよう、お願い申し上げます。