新型コロナウイルス感染症拡大防止に係る国立公文書館の対応

国立公文書館総務課総括係・
統括公文書専門官室研修連携担当

はじめに
   新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という。)の感染拡大を受けて、各機関がどのように利用者にサービスを提供していくか、どのように勤務態勢を構築していくか、機関の在り方やそこでの働き方が問われています。多くの機関では事業計画の変更や中止を余儀なくされています。これまでの感染症の感染拡大防止の中で、各機関がどのような取組を行ったのか、あるいはできなかったか、いまだ続くなかではありますが、この半年間の取組方針や課題等を共有することは、今後の館の方針や在り方を決める上でも非常に重要であると考えています。そこで本稿では、国立公文書館(以下「館」という。)における感染症対策について紹介させていただきます。

1.休館対応
   今般の感染症の発生状況については、館内でも注視していたところでありましたが、2月下旬頃には、拡大傾向が顕著となり、当館への入館規制の対応について検討することとなりました。そして同月27日には、感染症の発生状況を踏まえた対応方針を決定し、前日の新型コロナウイルス対策本部における内閣総理大臣の発言を踏まえ、翌日から3月15日までの間の約2週間、東京本館及びつくば分館において、閲覧室及び展示室の閉室、館主催イベント中止、館の見学ツアーについても中止若しくは延期することとしました。更に3月中旬から、一部業務のテレワーク化を試行するなどしながら、感染症の発生状況について、適宜、確認しながら閉館期間を延長していきました。
   令和2年度を迎えた4月7日には東京都を含む地域を対象に緊急事態宣言が発出されたことから、翌8日には、「緊急事態宣言」の発出を踏まえた対応方針を決定し、当面の間の閉館延長について館ホームページで告知しました。また、3月の試行結果を踏まえて、改めてテレワークのルールを整理するなどし、東京本館、つくば分館の順に、出勤抑制を行いました。
   ただし、こうした状況においても、郵送・FAXによる特定歴史公文書等の利用請求の受付、電話や書面等による特定歴史公文書等についてのレファレンス、郵送・FAX・メールによるオリジナル商品の注文受付、国立公文書館友の会入会受付等、利用者の来館を要しない業務については閉館期間中にも実施しました。

2.サービスの再開
   その後、緊急事態宣言は、5月25日に解除となったことを踏まえ、同月27日には、6月2日からの東京本館及びつくば分館の閲覧室の開室について告知しました。また、6月16日からは、延期していた第1回企画展「競い合う武士たち-武芸からスポーツへー」も開始したところです。ここでは閲覧室、展示、研修という業務を中心に館の取組を紹介します。
   まず、1階の展示室及び2階の閲覧室の開室時間ですが、短縮等は行わず、これまでどおりの時間帯(午前9時15分から午後5時まで)としました。一方、常設展示室は午前9時15分から午後5時までとしました。来館者への協力依頼として、発熱等の体調不良が見られる方には来館を遠慮いただくとともに、入館時における検温への協力及び健康状態申告書への記入、入館時に手指消毒及びマスクの着用をお願いしています。なお、密接を避けるための入室制限については、東京本館の閲覧室では、最大16名までとし、これを超過した場合には、入室をお待ちいただいたり、他の部屋での閲覧をお願いすることとしています。つくば分館の閲覧室でも、密接を避けるため最大6名までの入室制限を行っています。
   次に、展示会については、4月開催予定の第1回企画展「競い合う武士たち-武芸からスポーツへー」を6月16日(火)から8月30日(日)まで(76日間)と後ろ倒しで開催することとなりました。夏の開催を予定していた「特別展:1964 東京オリンピックとその時代」については、令和3年3月20日から5月16日までに変更することになりました。
   展示室でも閲覧室と同様に、密接を避けるため入室制限を行う場合がある旨周知しています。利用者の方々のご協力をいただきながら、展示をお楽しみいただけるよう調整を行っています。今年度の展示計画については当館のホームページよりご確認いただけます 。
   館の閲覧や展示の再開にあたっては、入館時の検温(非接触型検温器、サーモグラフィー)及び健康状態の確認、閲覧室カウンターへのビニールシート設置、職員のマスク等着用、執務室事務机におけるアクリル板の設置等、感染症の拡大防止に向けて様々な対策を講じています。本稿執筆までのところ、安定的に運営できており、徐々に、平常時の運営体制を回復してきたところでありますが、引き続き、感染症の発生状況を注視しながら、適切に対応していきたいと考えています。
   一方、館が実施する令和2年度研修については、国・地方公共団体等の公文書館等の職員及び地方公共団体の文書主管課等の職員を対象にした「アーカイブズ研修」及び国・独立行政法人等の文書管理実務担当職員等を対象にした「公文書管理研修」を企画していました。公文書管理研修については5月より開催予定でしたが、感染症の感染拡大防止のため、5月開催分を翌年2月にずらしました。また6月開催分についても7月にずらすこととし、7月21, 22日に公文書管理研修Ⅱの第1回の研修を開催する運びとなりました。当初は、公文書管理研修は最大300人程度の受講を想定しておりましたが、大幅に縮小し、受講生同士の間に十分な間隔をとるように努めました。受講生に対しては、体調不良の場合は受講を控えるよう注意喚起、来場時の検温やマスク着用、手指消毒への協力をお願いするとともに、会場の定期的な換気の実施、会議室内の消毒・除菌の定期的な実施、共有部の消毒・清掃の定期的な実施に努めました。このような状況下でも実施する研修の意義を改めて確認するとともに、多くの方に安全で安心して受講いただけるよう取り組んでおります。今年度の研修計画については当館のホームページよりご確認いただけます 。

おわりに
   前例のない感染症拡大防止の対応や対策を検討しながら、当館の役割や機能の維持を図りました。多くの方々にご迷惑やご不便をおかけしつつも、ここまで来ることができたのは、皆様のご協力があってのことと存じます。感謝申し上げます。
   中には、オンデマンドにて施設や展示を紹介する等、苦境の中で、よりよいサービスを提供しようとする機関もみられました。アーカイブズ機関同士で、創意工夫を尊び合う連携を構築できればと願っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。