香川県立文書館のデジタルアーカイブについて

香川県立文書館 次長   宮武和也
同    専門職員 小野祐平

デジタルアーカイブ・トップページ(クリックで大きくなります)

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1 はじめに
 香川県立文書館では、資料の管理・検索や利用者申請の支援を行う従来の文書館システムが陳腐化してきたことから、平成30年度に、新たな文書館システムを構築することとしました。これに併せて、利用者がインターネットから資料の目録等の検索ができ、資料のデジタル画像の閲覧もできる「デジタルアーカイブ」の機能を持たせることとしました。ここでは平成31年2月1日に運用開始した「香川県立文書館デジタルアーカイブ」について説明します。

2 香川県立文書館のデジタルアーカイブ
(1) 概要
 導入サイトにあたる「デジタルアーカイブ」では、「デジタルアーカイブ・トップページ」から、資料検索・デジタル画像閲覧の方法の説明や、おすすめ資料の紹介、その他所蔵資料に関する各種お知らせに遷移できます。またこのトップページの「所蔵資料検索」のボタンをクリックすると、「香川県立文書館所蔵資料データベース」のページに遷移します。「所蔵資料データベース」では、キーワードで検索できる「フリーワード検索」と、公文書、古文書、行政資料といった資料の分類別に詳細な検索ができる「詳細検索」を設けており、利用者の状況に応じて使い分けることができます。

(2) デジタルアーカイブの検索と閲覧
 前述の通り、当館では資料の分類として公文書、古文書、行政資料(行政刊行物など)がありますが、中でも当館の利用者の需要が高い古文書においてデジタルアーカイブの整備を特に進めています。そこで本項では古文書の史料を中心にデジタルアーカイブの検索と閲覧について紹介します。
 現在、古文書では32,296点の史料についての目録情報がインターネット上で公開されており、今後も既刊の目録掲載史料などの公開を進めていく予定です。こうした史料の中から利用者は、意中の史料を検索することができ、これは「フリーワード検索」、「詳細検索」のいずれからでも可能です。しかし現在公開中の32,296点すべてについてデジタルアーカイブの整備が整っているわけではありません。そこで、特に画像の閲覧が可能な史料については、古文書-史料の詳細検索から「デジタルアーカイブ」の項目を「有」にチェックを入れることで絞り込み検索をかけることができるようにしています。当館では開館以来、古文書解読講座を開講していますが、その受講者の自学・自習の際のテキスト用史料探しなどにも、この機能は活用されています。

所蔵資料データベーストップページ(クリックで大きくなります)

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ビューア(クリックで大きくなります)

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 閲覧は専用ビューアで行いますが、ここでは拡大・縮小も自在で、小さな文字など史料によっては原史料を見るよりも見やすいこともあります。

(3) 国立公文書館の横断検索に参加
 平成31年3月26日からは、国立公文書館と連携し、同館の「国立公文書館デジタルアーカイブ」からも当館の所蔵資料が検索できるようになりました。これにより、「国立公文書館デジタルアーカイブ」の横断検索のページから、当館をはじめ、国立公文書館や地方公共団体の公文書館等の所蔵資料を横断検索することが可能になり、利用者の利便性が向上しました。

3 デジタルアーカイブへの期待と課題
 前述のように、史料閲覧の新たな場として、また古文書解読講座受講者の教材としての活用など、デジタルアーカイブは利用者の利便性を高めるものとして大きく期待されています。
 「デジタルアーカイブ」サイト内のおすすめ資料室は文字通り当館おすすめの資料を紹介するページですが、ここに「所蔵資料データベース」の検索結果一覧へのリンクを貼り、今年度開催の展示資料全点を一覧表示させました。これはホームページ上展示の簡易版のようなもので、史料詳細画面では展示キャプションからの抜粋文を解説として紹介しています。一覧の史料順が展示史料順に従っていないなどの制約はありますが、展示資料を紹介したいものの専用ページの制作予算が無い、という当館ならではの見せ方と言えます。

おすすめ資料室・古文書(クリックで大きくなります)

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検索結果一覧 展示資料27点が絞り込まれている(クリックで大きくなります)

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 このように、デジタルアーカイブでは史料の見せ方を工夫する余地があり、工夫次第で史料のさらなる魅力を引き出すことが可能です。しかしそれにはまずデジタルアーカイブを整備することが必要ですが、運用開始後10か月余りの間に所蔵資料約24万7千点のうち、「所蔵資料データベース」でのデジタル画像登録資料数は、ようやく約2,500点です。資料のデジタル画像作成については専門業者への業務の委託のほか、職員による撮影や、公開用目録の再確認なども含めたデジタルアーカイブの整備作業に取り組んでいますが、その進展が課題と言えます。

4 おわりに
 香川県立文書館は、令和元年度に開館25周年及び公文書管理条例施行5周年を迎えました。今後とも、「デジタルアーカイブ」での公開資料の充実に努めることをはじめ各種事業を積極的に展開することにより、現在及び将来の県民への説明責任を果たすとともに、多くの利用者の学習、研究や、文化的活動の拠点施設として、その役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えています。

[参考]
香川県立文書館 デジタルアーカイブ:https://web.archives.pref.kagawa.lg.jp/
香川県立文書館所蔵資料データベース:https://www.archives.pref.kagawa.lg.jp/archives/