神奈川県立公文書館のデジタルアーカイブについて

神奈川県立公文書館
齊藤 達也

1 デジタルアーカイブの始動
 神奈川県立公文書館では、平成21年度から『公文書館所蔵資料電子化事業』を実施し、当館の資料のデジタル化に取り組んできました。しかし、当館のこれまでのシステムは、当館が開館した平成5年11月から使用している資料検索を主な目的とするシステムで、キーワードなどを入力して、資料のデータベースから該当するレコードを抽出、その内容やID番号を表示し、申込書を作成するためのものでした。このためデジタル化した資料については、当館の閲覧室の専用パソコンで公開していました。
 こうした中で、県立図書館のサーバーを利用して画像情報をインターネット上で提供するための検討が行われ、平成24年3月1日からは県立図書館と共同で『神奈川デジタルアーカイブ』として、インターネット上で公開を開始しました。
 これまで当館が提供しているデジタル画像は、県会・参事会文書、郡役所文書等の歴史的公文書を中心とし、資料数にして2,651件、画像数305,272コマを公開しています。

2 新公文書館情報管理システムの開発
 他方、本県では、本格的な電子決裁システムを取り入れた行政文書管理システムが平成30年度から稼働しました。これによりパソコンで作成された行政文書が電子決裁され、電子決裁文書として保存されることになりました。電子的に保存されている文書が保存期間を満了した場合には、電子情報として引渡しを受け、電子情報として選別、保存を行わなければなりません。
 これに対応するために、当館では電子情報の引渡しを受け、選別、保存し、そして電子情報として公開できるシステムが必要となり、これにあわせ電子的に決裁文書と共に、元々紙資料であった歴史的公文書や広報課写真等の画像データも登録して閲覧できるシステムの開発を行うことになり、平成29年度から本格的に新公文書館情報管理システムの開発を行いました。

01検索画面

01検索画面

3 新公文書館情報管理システムの稼働
 新公文書館情報管理システムは、平成31年4月1日から稼働しました。新システムでは、資料検索のためのデータベースに加え、電子決裁文書の電子データや写真資料の画像データ、刊行物のPDFファイル等画像情報が登録でき、資料検索のデータベースと連動させることができます。
 検索画面(画像01)にキーワードなどを入力して検索をすると、検索条件に一致する資料の一覧が表示されます(画像02)が、その時画像情報が登録されている場合はサムネイル画像が表示され、画像が登録されているかどうか容易に判別することができます。さらに、その資料を選択すると詳細画面(画像03)に遷移しますが、画像が登録されている場合には、画面下部に画像の一覧が表示され、登録画像の全容が容易に把握できるようになっています。
 また、デジタルアーカイブをさらに利用しやすくするために、画像情報が登録されている資料だけを抽出できるようになっています。検索画面には「画像情報」という項目があり、この項目にチェックを入れると画像情報が登録されている資料だけが抽出されます。

02検索結果画面

02検索結果画面

03資料詳細画面

03資料詳細画面



4 デジタルアーカイブの今後
 当館では、新システムの開発に併せ、平成29・30年度は、それぞれ約100,000コマの画像データをスキャニングしました。令和元年度も平成29・30年度と同様に約100,000コマの画像データをスキャニングする予定で、神奈川県公報や県勢要覧など刊行物のスキャニングも積極的に行っています。
 新公文書館情報管理システムには、令和元年10月20日現在で、デジタルアーカイブの登録件数は約8,190件、画像データは356,465コマが登録されています。当館のデジタルアーカイブは、これまで当館の収蔵資料の紹介という側面が大きかったので、今後は、スキャニングした画像データの登録をさらに進めて、当館の収蔵資料の利用という側面が大きくなると期待しています。