企画展

平成25年度連続企画展第2回「公文書館で「富士登山」」

平成25年度連続企画展第2回「公文書館で「富士登山」」


【展示会】

概要

「アッ、富士山!」。あのなだらかな美しい形が目に入った瞬間、思わず口にしてしまうこの一言。ご経験のある方も多いのではないでしょうか。厳しさと大らかさを合わせもつ富士山は、古くからみんなに親しまれてきました。そして、平成25年(2013)6月には、世界文化遺産に登録されました。
国立公文書館には、平安時代から今日の富士山に関する資料が多く所蔵されています。聖徳太子が黒い毛の馬に乗って富士山の上空を飛び回った伝説が載る『聖徳太子伝暦』、織田信長が本能寺の変の約2ヶ月前に富士山を愛でた時のようすを描く『安土日記』のほか、明治の初めに来日した外国人が富士山へ行ったことを伝える公文書、富士山が教材として載る100年前の国語や算数や図画の小学校の教科書、今後起こりうる噴火に対する国の取組についての報告書など。これらの資料は、富士山のもつ豊かな表情を私たちに見せてくれます。



主な展示資料


「未明之富士」(『富士山画図』より)
早朝の光を浴びて赤らむ富士山です。『富士山画図』は、富士山参詣案内図会です。江戸時代末期に甲斐国(現在の山梨県)の富士吉田の御師(おし)小沢隼人が作成した『富士山明細図』を写したものといわれています。



「東下り」(『伊勢物語』より)
『伊勢物語』の第九段「東下り」の中の挿絵です。在原業平(825-880)とみられる主人公の「男」が、何人かの友人と京を出て東国へ下る途中、駿河国で雪の降り積もる富士山を眺めている場面です。



「国立公園富士箱根漫遊案内図(双六兼用)」(「国立公園計画指定一般・富士箱根国立公園・昭和9年」より)
富士山は、昭和11年(1936)2月1日に箱根とともに国立公園に指定されました。この図は、指定約8ヶ月後の、同年9月30日に発行された「漫遊案内図」です。「双六」としても使え、「遊び方」の欄には「振り出し東京、上り富士山」と一例挙がっていますが、どこから始めてもよく、コースの取り方次第で旅行やハイキング気分が味わえます。昭和47年に環境庁から移管された簿冊の中に綴じられています。



「ご来光」(『富岳細見記』より)
山頂からのご来光の図です。『富岳細見記』は、江戸時代の終わりに成立したと推測される富士山についての案内記です。右上の解説には、はじめは銅(あかがね)色だった太陽が水平線を離れる時に光を発し、3丈(約9メートル)程昇ると光が満ち、山頂を照らしだすことなどが書かれています。眼下には山中湖や河口湖、正面には筑波山、南東の方角には箱根の芦ノ湖や江の島も見渡せます。