石川県立図書館の開館について

石川県立図書館
企画管理専門員 池端 知里

1.はじめに
  石川県では、令和4年7月16日に石川県立図書館の移転開館に伴い、図書の閲覧、貸出といった機能と併せて、公文書館機能も兼ねることとなりました。石川県立図書館は、日本三名園の一つである兼六園から約2km付近で、金沢大学工学部の跡地に開館しました。本稿では、県立図書館開館の経緯や具体的な機能、検索システムについてご紹介します。

外観は図書を開いたイメージ

外観は図書を開いたイメージ

馳知事らによるテープカット

馳知事らによるテープカット




多種多様な約500の閲覧席

多種多様な約500の閲覧席

四季の草木を眺めながら読書ができる

四季の草木を眺めながら読書ができる


       

2.公文書館と図書館の一体化の経緯
  本県では平成7年度に、歴史的に重要な公文書の保存や活用のあり方について検討する検討会を設置し、歴史公文書を適切に管理しながら、県民の皆様に有効に活用していただくため、公文書の適正管理の推進と公文書館の創設に向けて取り組んでまいりました。
  平成17年度末には、『歴史的価値を有する公文書の選別基準』を作成し、選別基準に合致した公文書を永年に保存することとしました。
  平成28年度末に策定しました新石川県立図書館の基本構想の中において、「新たに公文書館の機能を備え、貴重な歴史・郷土資料等と公文書のワンストップサービスを整えます」と位置づけており、この構想に基づいて開館に向けて鋭意検討を進めてまいりました。
  基本設計の中では、新図書館の3階に貴重資料、公文書等の相談ができる専用のカウンター(調べものデスク)を設置するほか、デスクに隣接して専用の閲覧室を設けています。この調べものデスク、閲覧室に近接したエリアに、地域の郷土資料を排架することで、石川県に関する情報がワンストップで得られるような体制となり、図書館機能と公文書館機能については、分けることなく一体的に対応することによって、にぎわいを創出するとともに、図書館としての機能をトータルとして発揮できることとなりました。
  令和4年2月に『石川県立図書館条例』を制定し、歴史公文書を保存、展示、及び一般の利用に供することとなり、県条例においても図書館に公文書館機能が備わることとなりました。

調べものデスク

調べものデスク

閲覧室

閲覧室




公文書書庫

公文書書庫

3.図書館に移管された歴史公文書
  開館時点では、まず戦前に作成された永年保存の簿冊を、歴史公文書として移管し、文書件数でいうと約2万3千件保存されています。例えば、明治7年に作成された『士族卒禄高調帳』、明治33年に作成された『国宝台帳』など郷土の歴史研究に資するものも多くあります。

4.検索およびデジタルアーカイブシステム『SHOSHO』の導入
  開館にあたり、歴史公文書はもとより、書籍・雑誌・古文書等、当館が所蔵するすべての資料を検索できるシステム『SHOSHO』を導入したことで、確実かつ効率的な文書の管理と利用者の利便性の向上を図りました。同システムでは、目録の検索とデジタルアーカイブの閲覧が可能です。気になるワードや身近なテーマから本との出会いを楽しむことができます。また、デジタルアーカイブとして公開している8,000点以上の資料を、石川県にまつわる多彩な切り口から閲覧することもできます。(R4.7.16時点)

「SHOSHO」トップページ

「SHOSHO」トップページ



5.課題
  今後、新たに保存期間が満了する文書の選別と並行して、石川県立図書館条例施行時点で選別の対象となった古い公文書の選別(保存期間が経過した文書)を進めなければなりませんが、古い公文書は、文書ファイルの綴じ方やファイル名の付し方、保存状態等に一貫性がないため内容の把握に時間を要すること、また選別を行う文書作成・取得部署の担当職員に選別の考え方が十分浸透しきれていないことから、確認・調整に多大な時間を要しているのが実情です。
  今後は、選別基準に基づく選別の参考事例を充実させるとともに、実施機関職員の研修を通じて、選別がより適切かつ効率的に行われるようにしていく必要があります。
  また、歴史公文書の目録についても、利用者の求める情報にアクセスしやすい目録の作成に努めていきたいと考えています。

6.おわりに
  新たな県立図書館につきましては、基本コンセプトである「思いもよらない本との出会いや体験によって、人生の1ページをめくることができる場所」を実現させるため、基本業務である図書の貸出し・閲覧機能に加え、新たに公文書館機能や「食文化」「モノづくり」の体験学習機能を一体的に備えております。またより多くの県民の皆様に歴史公文書等の重要性や当館の存在を知っていただき、広くご利用いただくとともに、重要な公文書をしっかりと後世に引き継いでいけるよう、今後とも職員一同力をあわせて取り組んでまいります。

閲覧エリア

閲覧エリア

文化交流エリア(だんだん広場)

文化交流エリア(だんだん広場)



機関名: 石川県立図書館
所在地: 〒920-0942 石川県金沢市小立野2丁目43番1号
電話/FAX: 076-223-9565(代表)/076-223-9566
Eメール: library■pref.ishikawa.lg.jp(■を@に替えてください。)
ホームページ: https://www.library.pref.ishikawa.lg.jp/
交通: JR金沢駅から
  北鉄バス「石川県立図書館」または「崎浦・県立図書館口」で下車
開館年月日: 令和4年7月16日
設置根拠: 石川県立図書館条例
組織: 石川県県民文化スポーツ部-文化振興課-図書館
人員: 歴史公文書・郷土資料課 8名(うち職員5名、会計年度任用職員3名)
建物: 延べ面積 約22,000㎡、保存書庫約85,000冊収納可能(歴史公文書)
所蔵資料: 図書、雑誌、郷土資料、行政文書、行政資料、その他の記録及び左記資料の複製物
開館時間: 閲覧エリア 平日: 9時00分〜19時00分
    土日祝: 9時00分〜18時00分
  文化交流エリア 平日: 9時00分〜21時00分
    土日祝: 9時00分〜18時00分
休館日: 月曜日(休日の場合は翌平)、年末年始、特別整理期間
主要業務: 資料の閲覧公開、資料の登録及び保存、公文書等の評価選別、文化活動の促進