写真の整理

国立公文書館
理事 中田 昌和

最近は、ある種のプロや趣味人を除けば、ほとんどの方は、写真といえば、(携帯電話、スマホを含め)デジタルカメラで撮影しているのではないだろうか。年末年始に、これまで撮りためた写真データの整理を試みて、過去を振り返ってみた。時代は進んでも、以前撮った写真を見て、楽しかった思い出にニヤリとしたり、苦しかったころを懐かしんでばかりで作業がなかなか進まないのは相変わらずである。

デジタルで一番古い写真は、撮影データをみると2001年のものであった。このとき初めてデジタルカメラを購入したようである。手元の写真データファイルは、2万5千枚近くにもなっていたが、これをある程度、旅行や出張など、一定の分類を行い、それぞれの塊をまた見やすく整理をしようと試みたものである。

フィルム代、現像やプリントの費用なども考えて、ただのスナップであっても、割りと慎重に被写体、構図、撮影タイミングなどをはかりながら撮っていた時代とは異なり、後で削除すればいいやとばかり、何枚でも気軽に撮っておくようになって以降、写真の枚数は飛躍的に多くなっていて、何を写そうとしていたのか判然としない写真や、どこが違うのかよく見比べないとわからないような、似たような(連続)写真も多かった。それでも、PCなどの性能が飛躍的に進歩しているおかげで、これほどの枚数のデータもかなりスムーズに取り扱うことができるのは驚きである。タブレットなどでも紙をめくるような感じでどんどん写真を送りながら見ることもできる。また、今の技術で明るさや色合いなども調整できるのは、当時のデジタルカメラの性能を思うと助かることも多い。

割と手間をとったのが、撮影日時の確認である。デジタルカメラで撮った写真は、カメラの日時設定を頻繁に確認しておかなかったせいか、時間順に整理したときにズレが生じてしまっているのに気がついた。たまたま、同じと思われるイベントで、デジタルカメラとスマホで撮った写真があって、その前後関係に違和感があったためにわかったことである。自分のもっていたカメラの日時は、買ったときにセットをしたままであった。これの整合性をとるデータ修正に結構な時間がかかったし、もう少し精査をすれば、他にもずれているものがあるのかもしれない。
さらに、撮影地データも、新しいスマホで撮ったものは自動的に付与してくれているが、古いものは、「これどこで撮ったかな?」などと写真を見ながら考えていかざるをえない。これはこれで昔ながらの振り返りの時間を提供してくれたりもした。

デジタルカメラ時代以前の紙の写真の未整理の束や、冊子のアルバムになっているものあるし、どこか戸棚に押し込んだまま存在すら忘れている写真もあるのだろうが、それらの整理は今後の課題である。最終的に、紙の写真とデジタルデータの写真を統合した、写真でつづる個人史的なものを作ろうと思うと、今後は動画クリップや音声なども含んだものにもなるかも知れず、できあがりのイメージもおぼつかない。老後の楽しみが増えたことを喜ぶべきかもしれない。