国立公文書館
理事 中田 昌和
新型コロナの感染防止対策に皆さんも一生懸命取り組んでいらっしゃると思います。
劇的な効果のある治療薬やワクチンの開発・普及が期待されるところですが、当面は「With コロナ」の時期を、力を合わせてなんとか乗り切らないといけない状況でしょう。
このような中、働き方改革の文脈も含めて、リモートワーク、ウェブ会議などの導入が進んでいるようです。これに合わせて、仕事自体の進め方の問題に気がついて改善が進む、あるいは、取組ながら懸念が解消されていく部分もあるように思います。ただし、気をつけなければならないことの一つに、コミュニケーションの取り方の問題があります。これまで、同じ時間に同じ職場で顔を合わせて、あうんの呼吸というか、なんとなくのコミュニケーションに頼っていた部分については、あらためて意識して見直し、今の状況にふさわしい工夫をしないといけないように感じています。
自らの日常を振り返ってみると、少し離れた先の席から垣間見える表情、聞こえてくる打ち合わせや電話でのやりとり、本題に入る前の雑談などを通じて、相手の状況を推し量るような場合もあるように思います。また、内容によって、立ち話でするような話もある一方、時間を設定してしっかりと相対してするような話もあります。これらをいざネット経由でとなると、どういう内容をどういう手法に切り替えていくか、使い分けが難しいものがあるように思います。日常の接触機会を減らしていく中で、メールの文面や添付する資料、端末に映す画像などを工夫し、必要な意思の疎通をどう深めていけるか、個人的には大きなチャレンジの一つです。(ウェブカメラ越しだと自分がどう見えるかなども気にしないといけないかもしれません。)
人間同士のつながりとして、情報通信技術が発達しても、(感染防止に配慮しながら)空間を共有して、本当に向き合って対話をしないと真意がお互い伝わらないこともあるでしょうから、改めて、内容、重要性、困難性などに応じてオフライン/オンラインでのコミュニケーションの仕方やそれを可能とする環境作りを考えて行く必要があるのではないでしょうか。