令和元年度アーカイブズ研修Ⅱについて

国立公文書館
統括公文書専門官室 研修連携担当

1 はじめに
 令和2年1月15日(水)から1月17日(金)までの3日間にわたり、国立公文書館(以下「当館」という。)では「令和元年度アーカイブズ研修Ⅱ」を開催しました。
 本研修は、公文書等の保存及び利用に関する特定のテーマに係る共同研究を通じて、公文書館における実務上の問題点等の解決方策を習得することを目的に毎年開催しているものです。今年度は「歴史公文書等の利用に係る審査」をテーマとし、前半に講義と演習、事例報告を設け、後半は、各自がテーマの中で特に関心を持つトピックを選び、グループに分かれて討論を行いました。また、研修の最終日には全体討論の場を設け、各班の発表をもとに討論しました。
 今回は、国立公文書館等の指定を受けた機関をはじめ、地方自治体が設置する公文書館、県や市町等から37名(31機関)の参加がありました。

2 概要
 講義では、中央大学国際情報学部教授の石井夏生利教授より、「情報法制と公文書館」と題し、「公文書等の管理に関する法律」の基礎について、論点とともに解説していただきました。また、当館業務課の杉生守夫課長補佐より、当館の審査基準及び制限年数について解説し、具体的事例に基づく審査の演習を行いました。
 事例報告では、(公社)日本複製権センターの川瀬真氏より著作権法の基本的事項に関する解説の後、公文書館で想定される著作権処理に係る質問に対し答えていただきました。次に神奈川県立公文書館の寶田陽子氏より、『神奈川県立公文書館業務検証報告書』をもとに、現在の同館における取組についてご報告いただきました。最後に大阪大学共創機構社学共創本部の菅真城教授から、大阪大学アーカイブズが所蔵する「大阪皮膚病研究会関係文書」(ハンセン病関係の文書)の利用提供事例についてご報告いただきました。
 後半のグループ討論では、6班に分かれ、それぞれ個別のテーマに特化した班、理想的な利用審査を追究する班等、様々な観点で活発な議論がなされました。
 今号(第76号)では、各班の代表者により報告された討論の内容・成果を掲載しています。

3 まとめ
 研修終了後に実施したアンケートでは、受講者から、「様々な機関の皆様から具体的かつ率直なお話をお聞きできたことがよかった」、「他機関の状況をお聞きできたことで、当館での改善点や課題解決につながることが見えてきた」、「班分けが問題意識を重点にしていたことで議論がスムーズに行えたのがよかった」等といった感想が寄せられました。
 今後も、受講者や所属機関から寄せられた御意見、御要望を踏まえ、参加される皆様にとって実り多い研修となるよう、取組んでまいりたいと思います。